毛芯とは
毛芯とは
一般に「バス芯」、「総毛芯」の「スーツは高級」との認識がある。ここで知られているようで知られていない、毛芯について解説する。
毛芯の構造
通常、台芯、肩芯、胸増芯、フェルトの四層構造になる。
夏用ジャケットはフェルトを抜いて三層のものを使う場合もある。
台芯は全体の前身頃のシルエットを支える。肩芯は肩から胸のシルエットを補強。胸増芯は胸の高さを出す。フェルトは胸増芯に同じく。
台芯は上質な物は通常、ウール(羊毛かキャメルヘアー)と麻の混毛のものが多い。安価なものは化繊のもある。
バス芯とは?
胸増芯に馬の毛を使用したものを「バス芯=馬巣芯」と呼ぶ。
通常は馬の鬣をつなぎ合わせたものを使うが、馬の尻尾の一本毛を使用したものを「本バス芯」という。
馬の尻尾の毛は、鬣に比べハリがあり胸の高さを出すことができるので、上質な仕立てには不可欠な素材である。
総毛芯と半毛芯
半毛芯は台芯が腰ポケットまで、総毛芯は裾まで入ったもの指す。
夏用に軽い仕立てを望むなら半毛芯にすることも多い。
一般に総毛芯は芯が増える分、暑くなるために冬物のスーツに多く用いる。
「毛芯仕立て」≠「上質な仕立て」
一般に誤解されがちだが、総毛芯は上質なスーツの必要条件とみなれている。
毛芯というのはスーツを支える骨のようなものだ。
骨がしかっりしていればスーツというのは組み立てやすい。
アンコン仕立てなどの、毛芯を省くとそれだけシルエットを構成することは高度な仕立ての技術を要求される。
一枚仕立てというジャケットを除き、アンコン仕立てには胸増芯、肩芯(フェルトが入る場合もある)は使用する。
確かに総毛芯は同等の素材の半毛芯よりも高価である。
総毛芯=原価が高いという方程式が「高価なスーツの証」が総毛芯=上質な仕立てという誤解につながったと考えられる。
本来なら毛芯の選択はスーツ。
ジャケットをどのようなシルエット、着心地で着たいかの使用者側の立場に立って選択されるべきである。