生地について
フランネル
フランネル
元来、イギリスのウェールズ地方に伝わる毛織物。
暖かく柔らかい、伸縮性も備えた万能素材だ。
別名をフラノ(中でも分厚い物)とも言い、コットンやウールで作られる。
秋冬シーズンの到来に合わせて目にする機会が増えるだろう。
この素材を使用したアイテムで代表的なのがネルシャツだ。
ご存知の方も多いだろうネルシャツは、名の通りフランネルで作られたシャツの事。
なのでフランネルの呼び方として、ネルとだけ呼ぶ場合もある。
この素材は表面が起毛しており、シーズンの定番だ。
生地でも同様、秋冬用にフランネル生地でスーツを仕立てる方は多い。
スーツ業界では、なくてはならない素材の一つである。
・フランネル生地×無地
こう見ればご存知の方がほとんどだろう。
ご家庭でも、ラグマットなどで良く使われる。
フランネルでは比較的チェック柄やストライプ柄の評判が良い。
しかしここでは素材感を強調して無地をご紹介。
起毛した表面の柔らかさは季節感を演出。
これがスーツになるのだから、その技術は凄まじい。
画像出典:fab-fabric http://fab-fabric.com
・フランネル生地×スーツ
さて、これがフランネル生地のスーツだ。
どっしりしすぎない上品な重厚感がある。
クリアカット生地と比べると一目瞭然だ。
ちなみに画像のようなフランネルネイビーストライプのスーツは持っておいて損はない。
どこかで一度調達するべきだ。
画像出典:Mens Ex http://www.mens-ex.jp
スーパー表記と番手
スーパー表記と番手
混同されやすいスーパー表記と番手について今回はご紹介。
スーパーは原毛太さを表すもので、番手は糸の細さを表すものだ。
スーパー表記が高い=細番手という間違った認識がみられる。
スーパー表記が高い原毛は細い糸が作れるという意味合いはあるが実用性などの関係で実際に太い糸に加工するかは作り手に左右される。
同じスーパー英国生地はイタリア生地では番手は英国生地の方が太く、ハリのある生地になる。
スーパーは原毛太さを表す表記
スーパー100は18.5ミクロンメートルの太さと定義される。
ス―パー表記は10上がるたびに0.5ミクロン細くなる。
ゼニアの15ミルミルはスーパー170となる。
現在ではスーパー270クラスまでの原毛が存在する。
ちなみにウールには白度といって、原毛の段階でどれだけ白色に近いかの評価基準がある。
スーパー表記のみで生地の良し悪しを決めるのは早計である!
(画像はゼニアより)
番手は糸の太さを表す表記
番手は一キログラム当たり何メートルの糸なのかを表す。
これを恒重番手という。
例えば100メートルなら100番手となる。
英国生地が50番手前後の糸を使う。
イタリア生地なら60番手前後を使う。
ちなみにロロピアーナの「タスマニア」は96番手だ。
(画像はロロピアーナより)
ポイント
スーパー表記の惑わされてはいけない!
スーツ生地の良し悪しがスーパーでなく糸の細さと密度の関係が大きい。
番手が高いとしなやかな肌触りとなる。
スーパーが高いと、光沢と発色が良くなる。
イタリア生地と英国生地
イタリア生地と英国生地
イタリア生地と英国生地との違いを中心にご紹介。
イタリア生地と英国生地の大きな違いは、一般にイタリア生地は軽く柔らかく、英国生地はハリがあり、重いといわれる。
しかし、昨今、英国生地ブランド「ホーランドシェリー」などはイタリア生地に寄せたものを多くラインアップしており、明確な差違はなくなりつつある。
また、生地はイタリア生地でもデザインは英国生地に寄せているものもおおい。イタリアというフィルターを通した英国スタイルは北イタリアでは割と多いスタイルだ。
もっとも、純粋に英国生地らしさを残した生地作りをするのは、英国生地ブランドでは「ハリソンオブエジンバラ」のみだ。
実は、意外にも日本ブランドの「葛利毛織」は英国らしい生地を今でも生産している。
イタリア生地
・生地的特徴
縦横、双糸、単糸で織り上げられ柔らかく、ライトウェイトのものが多い。
防寒性、耐久性に劣る。
しかし軽やかな着心地になる。
・デザイン的特徴
光沢が強い生地が多く、繊細な柄が多い。
英国生地
・生地的特徴
縦横、双糸、双糸で織り上げられハリとコシがありウェイトの重い者が多い。
防寒性、耐久性に優れる。
・デザイン的特徴
双糸、双糸の関係でチョークストライプ、グレンチェックなど大味な柄が多い。
ポイント
現在はイタリア生地と英国生地の線引きはあいまいである。自分自身の感性に合う生地ブランドを探すことをお勧めする。
・イタリア生地の特徴を抑えた生地ブランド
ロロピアーナ カノニコ アリストン
・英国生地の特徴を抑えた生地ブランド
ハリソンオブエジンバラ 葛利毛織
・イタリア生地であるがデザインは英国調
カルロバルベラ ゼニア
ミルとマーチャント
ミルとマーチャント
生地選びの基準に生地ブランドを見てからという方も多いと思う。
今回はお気に入りの生地ブランドに出会うための知識をご紹介。
生地ブランドはマーチャント、ミルに分かれる。
マーチャントは生地のデザインを外部の工場に発注して生地を卸す形態の生地ブランドを指す。
ミルは織元ともいわれ、生地のデザイン、生産を一貫して行う形態を指す。
ミルの中でも糸の紡績は外部、内部というように自社でカバーする範囲は差違がある。
また、ミルでありながら自社の不得手とする素材に関しては外部に委託する場合もある。
ミルとマーチャントの線引きは一定ではない。
ミルはコストパフォーマンスに優れる。
マーチャントは中間マージンがかかるので2割~5割程度高くなる。
生地選びを単純に生地の質と割り切ればミルから選ぶことになる。
しかし、生地にはデザイン性という要素がある。
特に昨今はチェックのブームで多種多様な柄の生地が出回っている。
マーチャントはミルの出す生地に比べ、独自性に富み、色鮮やかなデザインのものが多い。
ミルの代表的ブランド
・ロロ・ピアーナ
・カルロ・バルベラ
・カノニコ
マーチャントの代表的ブランド
・スキャバル
・ドーメル
・ハリソンオブエジンバラ
・ホーランドシェリー
・アリストン
ポイント
価格面;ミルの生地の方が割安の傾向にある。
デザイン性;マーチャント系が流行を掴んだ、デザイン性に富んだ生地が多い。