2011年12月
コルヴォ名古屋店からシャツのゆとりの話
スーツにはクラシコイタリア、アメトラ、ブリティッシュなどの様々な国ごとによるスタイル(傾向)が有りますが当然、シャツにもそうした特徴があります。
大まかに言うとイタリアは上胴(胸周り)と中胴(腰周り)の差寸がありタイト目、アメトラはゆとりがあり差寸の少ない寸胴型で、ブリティッシュはゆったりめ、袖が若干長い傾向があります。
オーダーシャツの袖は長めに作る傾向が有ります。腕を前に出しても手首にかかる程度。Corvoでも御指定がない場合、長めにお仕立てさせていただいています。
Corvoではスーツがクラシコイタリアスタイルですので、シャツもイタリアスタイルを踏襲しています。具体的に上胴で実寸(ヌード寸)から12センチから16センチのゆとりを加えたゲージ服を着ていただいてそれから、お客様の好みに合わせていきます。
ちなみにブリティッシュは上胴に対し22センチ程度、余裕を加えるそうです。クラシコイタリアとは二回りぐらいサイズが違いますね。
また、シャツの仕入先の人に聞いた話ではお若い方は10センチ程度のゆとりの更にタイトなものが今はよく出るそうです。
大阪コルヴォ前回のブログの続き。(ダブルモンクの魅力について)
なんとなく、ダブルモンクについて語りたくなってきたので、失礼ながら勝手に語らせていただきます。
カジュアルからビジネスまで使える極めて汎用性が高い靴です。もちろんジーパンにも合わせられます。
服飾評論家の落合正勝氏もダブルモンクとスーツの組み合わせには太鼓判を捺してらっしゃいました。
基本は穴飾りのないプレントゥかストレートチップがです。ストレートチップならフォーマルよりの印象。穴飾りが有れば若干、カジュアルよりになりますがビジネスシーンにも問題ありません。
色合いが茶、ボルドーのものをCorvoのスーツに合わせていただければ一気にイタリアらしい雰囲気になります。なかなか、スーツに合わせにくいと思われがちのスエードーなんていうチョイスも。
なぜか、ダブルモンクはパンツの裾がダブルで短い方が合わせやすい気がいたします。甲の覆いの部分が通常の紐靴より甲を高くさせるのからかもしれません。
当然、ダブルモンクフェチの私はダブルモンクに合わせるため自分のパンツの裾はハーフクッションの短めにしています。
見た目だけでなくは履き心地はというと紐靴より私の感覚ではフィット感があります。しかも、脱ぎ履ぎの覆い日本人にはうれしいことに紐靴にたいして比較的、楽です。
よく脱ぎ履ぎしやすいようバックルにゴムが使われたものがあります。バックルにゴムが使われているものは伸びてしまうことがあります。そうなると修理が必要です。自分のお店の商品に責任を持っている所なら修理に対応して頂けます。
個人的には〝美しく”も〝履き心地もいい″、最も完成された靴の形だと思っています。
いいスーツにはいい革靴を!大阪コルヴォのコーディネートアドバイス
スーツと革靴は切っても切り離せない関係ですね。
「いい革靴がほしいけどどこかいいところない?」と尋ねられることが多々あります。
そんな方にお勧めがこの店、トレーディングポストです。(勝手にご紹介させていただいています。もし不都合がございましたら御一報ください。)
当店からも比較的近い(以前、お客様には遠いと言われました。徒歩十五分程度です。)のでCorvoでお客様に前述のご質問を頂いた時は御紹介させていただいています。
個人的にリーガルのオーダーシューズが気になっています。価格的にも手を出しやすいですし。今度、オーダーしてみて良かったらお客様にお勧めしようと思っています。
ちなみに今のトレンドはダブルモンクらしいです。昔からある伝統的形で、最近、雑誌ではよく見かけるのですが、個人的には実際に流行ってるのかは謎です。業界人の自分が言うのもなんですが所詮流行なんて業者が打ち出したいものを単に「流行だ」と言ってるだけですから。
しかし、スーツとの相性は抜群です。紐靴と違い比較的脱ぎ履きする時は楽です。イタリア人がよくやることなんでですが、わざと上のバックルは外しスリッパ感覚でも履けます。(ビジネスシーンなら閉めた方がいいと思います。餅は餅屋でトレーディングポストの店員さんに聞いた方がいいと思います。)
大阪コルヴォがお教えします オーダースーツは体に沿わせすぎてはいけない!!!!
オーダースーツを着る意味は体に合わせたスーツを着るということですが、それだけでいいのでしょうか?当然、オーダースーツも服です。美しさも兼ね備えてなくてはいけません。
たとえばお腹が出ていて脚が細い方のズボンを細くしたら上半身は大きくて脚は細く見え不安定な印象を与えます。
また、極端になで肩の人の肩に合わせてつくったスーツは肩がすとんと落ちてなんだか拍子抜けの印象を与えます。
痩せ型で腕が細い人の腕に合わせて極端に腕の細いスーツを作ればひ弱な印象を与えます。
そんな、体のラインをどう美しくするかを考慮しつつスーツはゆとりを加えたり、補正をしなくてはなりません。単に体のラインに沿わせただけではいいスーツとはいえません。
沿わせるだけでは真の意味でお客様の体にフィットさせたとはいえません。そうした考慮が有って初めてお客様に合ったスーツになるのです。
名古屋・大阪の副資材に対するこだわり スーツの話(ナチュラルショルダー)
Corvoのスーツの肩はイタリアのスーツの特徴のナチュラルショルダーを採用しています。
人間の肩に自然に添うようにしたのがナチュラルショルダーです。
具体的に御説明するとパットは2ミリか入れないか、たれ綿(肩先から袖に少し出たところに入っている)は芯のないドミット社製のものです。
たれ綿を工場が調達するのに苦労したと技術顧問の方から聞かされました。高級テーラーがお金を出したからと言って手に入るものではありません。Corvoの副資材に対するこだわりに自信を持てる所以です。
Corvoのスーツはたれ綿に芯が入っていないのでハンガーにかけたとき袖がつぶれ、シワが出ます。しかし、ひとたび袖を通せば自然に肩にフィットし自然な肩のラインがでるというわけです。
コルヴォ大阪の伝統と変革
スーツが現在の形になるまで多くの変異を遂げています。
伝統とは小さな変革、大きな変革の連続の中で少しずつ変化しているものと認識しています。
一般にブランド、量販店のスーツというものは流行によって裾の開きが大きい、小さい、肩幅が広め、狭め、襟幅、着丈、パットの厚さ、ズボンなら股上浅め、深め、裾幅など時代時代によって徐々に変化しています。
伝統的スタイルはそうしたものの影響を受けます。なぜなら、そうした流行も伝統的スタイルを作り出す要素の一部分だからです。
わかりやすい例で行けば三つボタンスーツです。五年前ぐらいはほとんどのスーツが三つボタンでした。「二つボタンのスーツは古い」なんていわれたものです。しかし2008年頃からイタリア風の二つボタンがまた主流になってきました。これがスーツの流行の変化です。しかし伝統的仕立て屋、ブランドはこの流れに乗りませんでした。
実は二つボタンは戦前までなかったんですよ。段返り(三つボタンで第二ボタンまで襟の折り返しがくるもの)のスーツから派生したものなんです。それが第二次世界大戦後流行になりスーツの主流をしめるようになたのです。現在、伝統的仕立て屋、ブランドは二つボタンが主流です。
伝統的なスーツもこうした流行を取り入れなかったり、取り入れたり、また取りやめたりを繰り返します。流行ほど顕著ではありませんがわずかではありますが長い目で見た時代の流れに変化しています。
Corvoでは伝統的イタリアスタイルの型紙を使用しています。実はこの型紙は十年以上前に作られたものなんです。当時、消費者の方からしたらかなり奇抜なスーツに感じたと思います。現在、Corvoに来られたお客様、業者様含めて古いといわれたことはありません。一度、お若い方からは襟幅が広すぎるとお叱りを受けましたが。
伝統、流行の流れで五年前に細身の流行を受けパンツの型紙は変更されています。(また、現在、太目のパンツへの回帰傾向があります。当店のパンツの型紙はやや細身です。)
伝統にも変化はあります。それに対応できなければ伝統を守れません。伝統を語るものは流行に敏感でなくてはなりませんね。
変革は常にデザイナーの発想から生まれてきます。相反する立場ですがもしかしたら今後、デザイナーがデザインするスーツがまた伝統に変化を与えるのかと考えると次なる変革が待ち遠しいです。
名古屋・大阪Corvoの宣戦布告
Corvoの代表の谷口です。
Corvoのスーツが数十万してしまう海外ブランドと同等以上だということを疑われる方がまだまだ多くいらっしゃいます。致し方ないことだと思います。Corvoは無名である上にこの価格でこの縫製レベル、この生地を使うことは業界の常識を外れていますから。
「当店の取引先の縫製工場は海外高級ブランド、セレクトショップのスーツを手掛けている国内最高峰のファクトリー」と何度もご紹介させていただきました。具体的な数字は明かせませんが縫製費だけで量販店のスーツなら二着は買えてしまう金額です。同じ縫製工場を使っていても一部海外ブランド、セレクトショップのスーツは要尺(スーツに必要な生地の長さ)を喰う仕様(本台場など)をなくし要尺を減らし、シルエットを支える芯地も安価のもの使用しています。原価を削り質を落としたそれらのスーツに対しCorvoのスーツは同等以上の質を維持しています。
私は一部を除いてブランドが品質を保証するものではないと考えています。誰もが知っているようなブランド品のスーツは大概インポート生地を使用しています。しかし縫製は細かい仕様のみに力を入れて量販店のスーツと同等レベルの縫製であることがほとんどです。そうしたブランドの苦境を見ていると金額に見合った価値のない物には消費者は見向きもしない時代に移行していると感じています。さらにこの傾向は強くなると感じています。残念ながらブランドを信じている方がいまだに多く見受けられます。
またほとんどのブランド、スーツの価格帯で20~30万円クラスのブランドですら近年は縫製を中国内工場に委託しています。
Corvoのスーツは単に金額の面からみたら安くありません。68000円からの買い物が安いとは思いません。しかし〝上質のスーツを手の届く価格で″のコンセプトはCorvoは確実に達成していると私は考えています。 最終的判断はお客様に委ねられますが。
最高の強みを生かし〝低価格、低品質″に傾くスーツ業界、今後いかなることがあろうと現在Corvoを支持してくださるお客様、未来のお客様のためにこの逆流に逆らい続けようと思っています。
さらに多くのお客様に「Corvoでスーツを仕立てれば確かだ。」と言って頂けるよう、この業界に僅かに残っている品質とブランドの名に見合ったブランドと同じようにCorvoがより多くの方に認知されるよう今後とも精進してまいります。Corvoをどうか信じてください。
Corvoでは名ばかりのブランドに対して怖気ることなく挑み続けたいと考えています。
これはCorvo立ち上げ時からの私にとって、Corvoにとってのこの業界に対する〝宣戦布告″です。
supper表記、番手って何?【名古屋・大阪オーダースーツのコルヴォ】
まず、ウールの番手とは糸の細さを表すもので一番手が一グラムで一メートルの糸のことで百番手なら一グラムで百メートルの糸を表します。
supperとはウールがどの程度まで紡績できるかを表すものです。supper100ならば1ポンドで100綛(かせ)の糸が取れることを表します。
※綛とは500メートルを若干上回る糸の長さ
国際表記ではウールの繊維の直径を顕微鏡で測定し0.5ミクロンづつにわけ、18.75ミクロンの前後0.5ミクロンの繊維をsupper100と定めsupperが10ずつあがるごとに0.5ミクロンずつ細くなっていくと定めています。すなわちsupper120なら17.75ミクロン前後になります。
雑誌とかではsupper表記の高い生地は細い糸で織られていると説明されていますが実際のsupper表記は細い糸を紡績できるという意味で糸の強度の問題から実際にはスーツ地なら60、70番手ぐらいの糸にして使うのが普通です。また、supper150クラスになれば繊維が極端に細いので糸の強度を保つためsupper100クラスより大概は太めの糸になります。一概にsupper表記が高い生地が良いとは限らないのでご用心を。