大阪店
オーダースーツに対する日本とイタリアの感性
日本人とイタリア人というのはオーダースーツのみならずファッションに対して大きな隔たりがあります。
シルエットに関する違いは多くの雑誌などで取り上げられているので説明から省きますが構造についてご説明させていただきます。
イタリア人というのは襟、袖周りの芯地も柔らかい物を好みます。また、それをフラシにして接着したりしません。柔らかい芯はどうしてもシワになり、よれたりもします。体に馴染みのいいものを彼ら(特にイタリア南部)は上質なものと認識します。
また、スーツに関しても柔らかい芯を好みます。仕立屋にもよるのですが基本的には表地と土台芯を糸で縫い付ける(ハ刺しといいます)ことはしません。フラシ芯(糸で止めず振らしたままにすることが語源)です。
一方、日本人はシワやよれを極度に嫌がります。シャツの芯に関しては接着芯という、樹脂で表地と芯地を固定するものを好みます。クリーニングに出した際に生地の伸び縮みでシワは出にくくはなりますがイタリアのシャツように首の当たりなど、体に対する馴染みは落ちます。
最近は「鎌倉シャツ」など見ているとフラシ芯が好まれる傾向にはあるのですが市場の流通量をみてもフラシが10%、接着芯のものが90%ですのでまだまだ、接着芯がこの国では主流のようです。
また、日本人にオーダースーは重い、堅いのイメージがあるのは重く堅い芯地を使い、ハ刺しを施すからです。工場や仕立屋にもよるのですがイタリアのような羽織るような感覚のスーツは日本の縫製では難しいでしょう。
Corvoのオーダースーツの縫製工場も縫製はイタリアとほぼ同じですが、イタリアのスーツに比べると堅い芯地です。また、シャツに関してもフラシですが少し堅めにしています。これは意図的に日本のビジネススタイルに合わせています。
イタリア人は服を正確にファッションとして捉え、日本人はシワやよれを気にするあまり工業製品として捉えているところがあります。
こんなことばかり書いているといかにもオーダースーツ・シャツにかんして「イタリアはすごい」「日本はダサい」と言っている思われてしまうかもしれませんが、イタリアの縫製はシワが出たり、釦付けの糸の始末の悪さなど、本当にイタリアのスーツを見たことがあるならまず手放しで褒める事はできないでしょう。
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