2012年5月
お勧めの生地ブランド
「CANONICO(カノニコ)」は人気ですね。どこのブランド、セレクトショップに行ってもカノニコの生地のスーツばかりです。スケールメリットを活かしコストパフォーマンスのいい生地を提供しているのでそれが各ブランドに支持されているようです。
「他と同じ生地は嫌だ」と言う方にお勧めなのが「John Foster(ジョン フォスター)」です。
正直いってあまり知名度がないのかCorvoでは不人気な生地です。他のオーダースーツ店でも同じようです。(笑)
知名度に対して作り出す生地の品質はきわめて高く、昔ながらの製法にこだわった生地に業界の中では定評があります。隠れた名生地ブランドとしてお客様にお勧めしています。
また、柄も英国生地にしては色糸を使ったストライプのものなど配色に富んでいます。
2Pオーダースーツ お仕立て価格で68000円(税別)と値段も手頃です。
生地の特性
オーダースーツ業界、アパレル業界というのは、ブランドの知名度、価格と品質が一致しないものです。また生地ブランドも同じことが言えます。
スーツの仕立栄えのいい生地と言うのがあります。特に既製品のスーツを扱うブランドはトレンドの柄、色合い以上にその生地選びに熟慮します。既製品はハンガーにかけた状態がきれいであるということが求められます。
一般にイタリア生地と言うのは柔らかく、コシがないものが多いです。柔らかいですからミシンの針を通す圧力でさえピーリングというシワが出たりします。(Corvoのオーダースーツは縫う際、紙を挟んだりして対処します。)
イギリス生地は堅く、ハリがあります。ですからピーリングはまず出ません。また、ハンガーにかけてもシワが出にくいです。
ですから既製ブランドは数年前までイギリス生地を好んでいた傾向にあります。今はクラシコイタリアブームの影響で柔らかなイタリア生地が好まれ、イギリス生地の既製品はあまり見ないですね。
夏物生地で仕立てた場合、対処をしていてもイタリア生地は薄く、柔らかくなるのでピーリング、着用時にシワが出やすくなります。
イギリス生地も夏物は薄くなるのでシワは出易くなりますがイタリア生地ほどではありません。
オーダースーツは出来上がってみないと仕立てた際のものが分かりませんよね。私のような店員と生地の特性を考えつつ生地選びをされてみてはいかがでしょうか?
ブルーはスーツの基本色です。スーツ生地というのは基本は青と灰色です。
黒だと思われる方もいますが海外では濃紺が主流です。日本はなぜか黒のスーツも多く出回っていますよね。
Corvoでも六割ぐらいの方が青色のオーダースーツを注文されます。
よくお客様に「ブルーのスーツは持っているからグレーの生地を!」と言われるのですが、生地の濃淡でも印象は違います。
(カノニコのホームページから)
上と下のスーツでは印象が大きく違い言いますよね?
今までは下のような黒に近い濃紺のスーツが多かったですが、今の流行は上のような明るいブルーが流行です。
イタリア人はアズ―ロといい明るい青色をよく好みますね。特に夏に明るい青のジャケットは鉄板ですね。
「ブルーは持っているから」とはおっしゃらず色の濃淡でオーダースーツ選びをされるとワードローブもより多彩になりますよ。
価格帯の選び方
Corvoのオーダースーツは68000円~と一万円刻みに色々な価格のものをご用意させていただいているのですが、はじめて来店されたお客様などには「どの価格で選んだらいいのか?」という御質問を受けます。
Corvoでは値段によってオーダースーツ、ジャッケト、パンツの仕立ての差異はないので価格の差は生地の値段の差になります。
68000円のラインの生地でも「CANONICO」「JOHN FOSTER」などの生地ブランドからお選びいただけます。質はいいのも然ることながら多くのブランドに支持された生地メーカーです。バーバリー、ラルフローレン、ヒューゴボスのスーツに使われている生地です。
Corvoのオーダースーツは一般に知られている海外ブランドのスーツに比べても仕立ても国内最高峰の技術を持つ工場でお仕立てしていますので全くといって遜色はありません。むしろ、仕立ての面では遥かに上です。
お客様から他店では最低価格は粗悪で、結局高い物を買ったというお話を耳にします。Corvoでは最低価格帯といえども品質は確かなものですので、価格は気にされずにお選びいただけたらと思います。
織り屋と川
イタリアの生地産地と言えばビエラです。ビエラはイタリアの北部に位置しスイスとの国境近くにあります。
生地の生産者のことを織り屋と我々、オーダースーツ業界の人間はそう呼びます。
生地の生産には水が欠かせません。ですから織り屋は川の近く工場を持ちます。
ビエラはスイスからの雪解け水の綺麗な水の川が多く流れています。ですからイタリア生地のほとんどの生地の生産者たちはその水を求めて、ビエラに集まっています。
汚い話ですが羊は群れで生活するので糞やゴミまみれで刈り取った毛の段階ではめちゃくちゃ汚いそうです。それを洗うのにも水。また、発色を浴するためにも水が必要だそうです。
そうして作られた生地がオーダースーツ店にならぶわけです。
光沢
光沢のある生地は三、四年ぐらい前にずいぶん流行りましたね。
「光沢のある生地=いい生地」のような感じにさえ見受けられました。オーダースーツ店も光沢のある生地を挙って仕入れていましたね。
生地に光沢を出すやり方は様々なんですが一つは圧力を加えることです。
学生時代に制服のお尻や肘がテカテカになった方は多いでしょう。(笑)あれはウールにある毛羽立ちが体重や擦れで寝てしまい光が反射するようになるのが原因です。原理は同じです。
それを解消するには毛羽立ちを起こせばいいのです。スチームアイロンをかけ、ブラシでウールの目と反対にごしごしすればてりは収まります。
このやり方はきわめて強い光沢になります。
もう一つのやり方は生地を紙で挟んで電気を流し一晩寝かすやり方です。
原理は何度か業者の方から教わったのですがよく分かりませんでした。このやり方は金属のような鈍い光沢になります。
話を聞いていると各オーダースーツ店では光沢のある生地をとのオーダーは今も多いそうですが、最近は光沢は各生地業者も落とし気味だそうです。不景気の影響か長く使いまわせるオーソドックスのものが今はトレンドだそうです。
英国生地は耐久性がある理由
夏はツーパンツにされる方が多いです。オーダースーツ店を経営する側からしたら単価が上がりうれしいことですが、お客様からしたら出費が嵩み嫌ですよね。
お客様がツーパンツを渋られたとき、そんなときは英国生地ブランドの「JOHN FOSTER」「Savile Clifford」をお勧めしています。
まず夏物は通気性を求められるため薄く、糸の打ち込み(密度)を減らします。ですからどうしても冬物のような厚手の生地に比べ擦れやすく、穴が開いたりします。
イタリア生地と英国生地は近年は明確な違いはなくなりつつありますが「JOHN FOSTER」「Savile Clifford」は昔ながらの英国生地の特性を持っています。
英国生地と言うのはイタリア生地に比べ糸が太く、打ち込みがいい(密度が高い)ものが多いです。また双糸、双糸といって二本の糸を撚って一本にした双糸という糸を使っているので耐久性があります。そのぶん、堅い感触になりますが、擦れ、シワには強いです。
オーダースーツを作られる際は是非、着用状況などお伝えください。一番、環境にあったものをお勧めさせていただきます。
ちなみに英国生地でも「チャールズクレイトン」などは比較的、イタリア生地のような柔らかいもの多いので一概に英国生地だから丈夫だとは限りません。