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2014年6月

革靴②

常連のお客様との会話で「イタリア製のスーツと英国製の靴を合わすことはあっても逆はないよね。」というお言葉が出てきました。
 
たしかに英国調のスーツにイタリア靴を(意図的に)合わせるという方は私がいる限り、いらっしゃいません。
 
雑誌などでの合わせをじっくり見ていてもマッケイ製法ぽい、軽い印象の靴自体がないというのは今の英国靴人気の影響かと思いますが。
 
少し古い話ですが2006年の映画、007の「カジノ・ロワイヤル」でボンドを演じた主演ダニエル・クレイグ氏がブリオーニのスーツにジョンロブの靴を合わせたことは話題になりました。非常に贅沢な組み合わせですね。
 
業界の先輩方の話では2006年ぐらい(私は高校生でしたが)は景気が良くなりつつある頃で質重視のスーツやら靴が注目されてき始めた時期だったそうです。
 
ブリオーニなどの高級スーツブランの日本法人が立ち上がり始めたのもこの時期と聞いています。
 
話はそれましたが「イタリア調のスーツに英国靴が合わせられるのか?」について私なりに考察してみました。
 
スーツというのは一般にイタリア調、英国調、トラッド調など言われますが祖先は英国調のスーツです。
 
メディアでは英国調は構築的なシルエット、イタリアは柔らかい仕立て等様々な講釈が成されています。
 
プロの視点でいえば英国調のスーツは固い、ナポリ調は柔らかい、北イタリアはそのあいのこ、これ以上の説明ができるのであればそれは変な話です。
 
この人の顔を見て日本人か中国人か台湾人か見分けろというのを100発100中で正解できる方はまれだと思います。
 
イタリアスーツの代表する、「ブリオーニ」は実は「英国調のスーツを手作業重視で量産する」という創業理念からはじまっています。
 
元を辿ればスーツは英国調なので英国靴を履けば似合うのは自然のながれでそうした合わせになったと思います。
 
しかし、雨降らし袖の芯なしのスーツにコバの厚い革靴を合わせる方はいません。そこはスーツの範疇をこえたものとみなされているようです。

革靴について①

最近のマイブームは革靴です。
 
スーツ屋の代表ですので今までこだわってなかったのかと問われるとそうではありませんが。このところ今まで以上に興味が出ています。
 
有名なドレスシューズブランドとしてはジョンロブを筆頭にクロケット&ジョーンズ、ベルルッティ、サントーニ、エドワードグリーン、トリッカーズ、チャーチなどがあります。
 
靴好きの方たちでしたら「ほとんど英国ブランドじゃないか!」と思われるかもしれません。
 
まぁ、実際、一般に日用品として使える価格帯のインポートブランドといえばエドワードグリーン、トリッカーズ、チャーチでしょう。(「俺はジョンロブを普段使いしているよ」という方がいらっしゃいましたら失礼しました。)
 
5~8万円台の革靴は英国ブランドが非常に力を持っています。
 
また日本では「グッドイヤー製法」の信仰が強くマッケイ製法を多く用いるイタリア靴よりもグッドイヤー製法の多く用いられる英国靴の人気に拍車をかけています。
 
ソールを張替えが容易な「グッドイヤー製法」は長く使う靴に優れていると一般に言われます。ちなみにマッケイは2回が限界と言われています。
 
ソールを3回以上、張替えをするほど酷使する靴は一生の間に何足あるのかと思います。
 
異論はあるとはおもいますが、個人的な考えではありますが、「耐久性はファッションにおいて絶対ではない」と私は考えます。
 
ブログでこんなことを書いている私ですが家のシューズボックスをみて普段使いしている革靴5足すべてグッドイヤーでした。(笑)
 
今日本で売られているインポートのマッケイの靴ってフェラガモなどの一部のラグジュアリーブランドで高嶺の花になった気がします。

続き

先日に引き続きハリソンズのご紹介を致します。(もっと早く更新するはずが遅れすいませんでした。)
 
ハリソンズを代表するコレクションといえば、秋冬物の定番「プルミエ・クリュ」です。
 
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2Pお仕立て価格158000円(税別)
 
 
 
重みが330g/mとあるので仕立て栄えは抜群です。
 
super100の原毛にカシミア混という非常に贅沢な生地です。
 
英国よりエアー便で生地の取り寄せになりますので、少しお時間がかかります。7月中旬ごろにご注文をいただければ9月中頃にはお渡し可能です。
 
 
 
次に紹介するのは冬の定番、「ファイン・クラシックス」です。
 
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2Pお仕立て価格138000円(税別)
 
 
 
肉厚で目付が370g/mとヘビーウェイトの為、11月から3月ぐらいまでの着用いただけるものとなります。
 
若干、織が甘いので軽い起毛にがあります。また英国生地としては比較的に柔らかくなっています。
 
 
 
次は「ウーステッド&ウーレン・フランネル」です。
 
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2Pお仕立て価格158000円(税別)
 
 
 
現在流通しているフランネルは実は正確な定義ではフランネルではありません。
 
フランネルというのは紡毛(短い原毛)で作られた糸で織られたものを指します。
 
実際には梳毛(長い原毛)で作られた糸で織られた生地を機械で引っ掻き、起毛させているものが多いです。(スーツ専門店の販売員さんでも知らない方は多いです。)
 
ちなみに340g/mは着用感を優先した梳毛から作られたものと400g/mは本来のフランネル、紡毛から作られた二種類あります。
 
個人的には400g/mのものをお勧めしたいです。 
 
最後はフロンティア。
 
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2Pお仕立て価格118000円(税別)
 
ハリのある生地で目付は300gと少し重めですが平織ですので通気性があり合いものの定番生地です。
 
摩耗に強いので営業の方でよく出歩かれる方などには特におすすめです。

通好み!

どの業界でも知名度はないけれど、目の肥えた方から好まれる、通好みブランドってありますよね。
 
Corvoもオーダースーツ業界でいえば通好みの店と言えるかもしれません。
 
今日は通好みの生地を紹介します。(ロロ・ピアーナは十分紹介させていただいたので省きます。)
 
通好みの生地といえばハリソンズ・オブ・エジンバラは一癖あって通好みと言えるかもしれません。
 
ハリソンズは英国らしい英国生地を得意としています。
 
現在、生産されている生地の95%前後はイタリア生地などにみられる柔らかい風合いの出る双糸、単糸織なのですがハリソンズは固い風合いの、耐久性に優れた双糸、双糸織りにこだわっています。
 
また、特に冬物は打ち込みのいい生地が多く、肉厚で、ハリのあることから仕立て栄えするため、英国のセヴィルロウの老舗テーラーをはじめとする仕立屋には必ずと言っていいほど取扱いがあります。
 
ちなみに仕立屋が英国生地を好むのには理由があります。
 
ロロ・ピアーナの「タスマニア」などのような柔らかく相対的に肉の薄い生地は縫ったときに、針の圧力で凹凸みが出易く縫いにくいのですが、英国生地は縫いやすいので好まれる傾向にあります。また、仕立てた際に生地に重みがあるため、体に沿い、シワになりにくいという特徴もあります。
 
(英国生地の方が仕立ての腕の粗が隠せるという言い方もできます。しかし、私のブログで英国生地しか扱ってないテーラーに腕がないとか誤解しないでいただきたいです。生地の風合い、耐久性から英国生地にこだわっているテーラーさんは数多くあります。)
 
ハリソンズは英国生地の伝統を今なお受け継いだ珍しい生地ブランドと言えます。
 
数年前から久しく生地の流行は質感はイタリア、柄は英国生地と言われています。生地自体はイタリア生地のような柔らかなものではあるが柄は英国生地のようなはっきりとしたペンでなぞったようなものが大半を占めています。
 
この流れからイタリア生地は英国調の柄に近づき、英国生地は柔らかく目付の軽いイタリア生地の風合いに近づいていきました。
 
その逆流のなかで伝統を守って英国生地を供給するハリソンズは英国生地好きの方から根強い人気をもっています。
 
明日は、ハリソンズのコレクションを紹介します。

腕時計(スーツとの合わせ方)

腕時計(スーツに合わせる)を選ぶ際は通常、革ベルトかブレスレット(金属ベルト)かになります。
 
通常、スーツに合わせる場合は革ベルトがよいとされます。高級な時計になればクロコ、アリゲーターなどの爬虫類の革ベルトになる傾向があります。
 
しかし、夏など汗をかく場合は洗うことが可能なものが使われる場合が多い傾向にあります。
 
現在ではどちらでもいいとされていますが、フォーマルな席では黒の革ベルトが無難とされています。
 
革ベルトも本革で安くて5000円程度、高くて10000円ほどですので消耗品と割り切って汚れてきたら買い替えることをおすすめします。
 
また革ベルトは革靴、ベルト、財布、鞄、あらゆる革の製品は色を統一することが望ましいとされますが現実的には難しいので形骸化しています。最低限、時計のベルトと革靴、ベルトは統一した方がきれいに色目がまとまります。
 
もともとはシャツのカフス廻りは時計の装着の有無で寸法を変えます。時計のする方の腕を薄い時計でしたら2cm程度、厚めの時計でしたら3cm~4cmはプラスします。
 
それはカフスの中に時計が収まるようにするためです。本来は腕時計は時間を見る際に袖を軽く引っ張り文字盤を見るものでした。現在はカフスの上に巻き付ける方もいてそこは好み次第となります。

生地の品質

多くのスーツに関するブログにどこ生地ブランドの生地がいいなど論じられています。
 
 
私も含め、スーツ業界の人間の批評は売れるからといってあえて生地ブランドの力にすがり、売りたい商品を押す場合が多々あるので鵜呑みにはできません。
 
 
生地というのは原毛の質、発色加工、仕上げの良し悪し、目付など様々の要素に加え、色味、柄などの判断材料があり一律に良し悪しを判断することは難しいです。
 
 
あえて比べてみるとするならば、デザイン性、機能性は置いてウール100%素材の生地として、各ブランドの代表作でもあり、同等価格という面から一般に対比されるものを比べてみます。
 
 
ロロ・ピアーナの「タスマニア」、ゼニアの「トロフェオ」、ドーメルの「iconik」、ハリソンズの「ファインクラシック、」ドラッパーの「ブルゾン」、タリアのスーパー150の物が挙げられます。
 
 
このなかでイタリア生地ではロロ・ピアーナが品質のみを考えれば一番いいというのはよほどのへそ曲がり以外で業界内の人間で異論を唱える者はないと思います。
 
 
ロロ・ピアーナはトップレンジの原毛の買い付け量が世界最大でスケールメリットがあるのでコストパフォーマンスは自ずと高くなります。
 
 
個人的な主観を挟めばタリアは同列1位と思います。最近、タリアは日本での商社の取り扱いが減って日本では知名度は劣るのですがいい生地ブランドですのでさみしい気がしています
 
 
Corvoも主力商品を決める際はロロ・ピアーナかタリアに悩んだものです。
 
 
商売として成立させようとした場合、供給面と知名度を考慮しロロ・ピアーナを最終的に選びました。来季から少数ながら仕入ようかなと検討中であります。
 
 
 
英国生地は正直テイストがあまりに違い比べるのは難しいです。
 
 
英国メーカーのチャールズクレイトンは双糸、単糸織りで軽く柔らかで比較的にイタリア生地に近いテイストです。イタリア生地と比較してもロロ・ピアーナに劣らぬ質です。価格は日本の商社を通すので少々高いのですがそれでもコストパフォーマンスはいいです。
 
 
仕上げの加工に紙で生地を挟み電気を通し光沢を出すという特殊な加工をしているといわれています。
 
 
ちなみにチャールズクレイトンも日本での取り扱いが減っています。
 
 
ハリソンは固く重い双糸、双糸の生地を得意としていて好みが分かれるところです。
 
 
ハリソンは独自路線で双糸、双糸のクラシックな生地を得意としており他の競合がいないといったところです。生地にハリがあり仕立て栄えするので老舗テーラーは好む傾向にあります。
 
 
ちなみに英国らしい生地では比較的テイストの似た日本産の生地に軍配が上がるといわれています。
 
 
しかし国産生地はデザイン性に劣るため、ほとんどの高級スーツ店で取り扱いがないのが現状です。
 
 
ちなみにドーメルの生地を織っているの日本企業が立ち上げた御幸資本のはミノバ社といわれています。現在はドーメルと共同出資という形と聞いています。

余談

先日、オープン当初からDMの印刷をおねがいしてる業者の方とお話をしていて「ロロ・ピアーナってそんなにいいの?」と聞かれやはりロロ・ピアーナはスーツ業界では有名かもしれないですがそれ以外の知名度は低いようです。(笑)
 
私が起業当初から「いずれはロロ・ピアーナを主力商品にしたい」との思いがあり、思い入れの深いブランドでもあります。ちなみに現在はお客様がご購入のスーツの8割はロロ・ピアーナの生地です。
 
スーツ好きの方ならイタリア生地ならロロ・ピアーナが一番いいとはご存知かと思いますが、改めて、ロロ・ピアーナについて、ロロ・ピアーナを育てたイタリアブランドを取り巻く環境を紹介させていただきます。
 
ロロ・ピアーナは仏LVMHモエへネシー・ルイヴィトンに買収される際、創始者親族を経営の中心におくことが条件だったそうです。
 
イタリアブランドは一族経営のことが多く、銀行からの借り入れ能力が低く、仏国、英国、米国などのブランドに比べ小規模展開のことが多いです。
 
一族経営が世界規模の展開を遅らせた点があるのは否めないです。この一族経営が消費者に単純に媚びないイタリアブランドの徹底した品質の追求、独自のテイストを守ってきた側面があることは特筆すべき点です。
 
ロロ・ピアーナも一族経営らしいこだわりの強いブランドであり、1924年、ロロ・ピアーナはテキスタイルとしてロロ・ピアーナは創業しました。それ以来、最高級テキスタイルとしての地位を確立しました。
 
オーストラリアで生産される高級原毛といわれるsuper100以上の原毛の30~40%を買い付けるといわれています。
 
また、知名度や規模、ファイナンス力が低くても実力派のブランドが多いのもイタリアブランドの魅力です。
 
イタリアは地形的にフランスなどの高級ブランドの下請け工場として機能していた経緯もあり、第二次世界大戦後に興ったものが多いのが特徴です。ですので製品の品質についても他のラグジュアリーブランドに比して高いことが多いのです。
 
こうした魅力、発展の可能性があるイタリアブランドはよく外資、ファンドの買収の対象になる要因でもあります。
 
ロロ・ピアーナは海外展開に遅れたという以外、イタリアブランドの多くの特徴をもっています。
 
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