大阪店
生地の品質
多くのスーツに関するブログにどこ生地ブランドの生地がいいなど論じられています。
私も含め、スーツ業界の人間の批評は売れるからといってあえて生地ブランドの力にすがり、売りたい商品を押す場合が多々あるので鵜呑みにはできません。
生地というのは原毛の質、発色加工、仕上げの良し悪し、目付など様々の要素に加え、色味、柄などの判断材料があり一律に良し悪しを判断することは難しいです。
あえて比べてみるとするならば、デザイン性、機能性は置いてウール100%素材の生地として、各ブランドの代表作でもあり、同等価格という面から一般に対比されるものを比べてみます。
ロロ・ピアーナの「タスマニア」、ゼニアの「トロフェオ」、ドーメルの「iconik」、ハリソンズの「ファインクラシック、」ドラッパーの「ブルゾン」、タリアのスーパー150の物が挙げられます。
このなかでイタリア生地ではロロ・ピアーナが品質のみを考えれば一番いいというのはよほどのへそ曲がり以外で業界内の人間で異論を唱える者はないと思います。
ロロ・ピアーナはトップレンジの原毛の買い付け量が世界最大でスケールメリットがあるのでコストパフォーマンスは自ずと高くなります。
個人的な主観を挟めばタリアは同列1位と思います。最近、タリアは日本での商社の取り扱いが減って日本では知名度は劣るのですがいい生地ブランドですのでさみしい気がしています
Corvoも主力商品を決める際はロロ・ピアーナかタリアに悩んだものです。
商売として成立させようとした場合、供給面と知名度を考慮しロロ・ピアーナを最終的に選びました。来季から少数ながら仕入ようかなと検討中であります。
英国生地は正直テイストがあまりに違い比べるのは難しいです。
英国メーカーのチャールズクレイトンは双糸、単糸織りで軽く柔らかで比較的にイタリア生地に近いテイストです。イタリア生地と比較してもロロ・ピアーナに劣らぬ質です。価格は日本の商社を通すので少々高いのですがそれでもコストパフォーマンスはいいです。
仕上げの加工に紙で生地を挟み電気を通し光沢を出すという特殊な加工をしているといわれています。
ちなみにチャールズクレイトンも日本での取り扱いが減っています。
ハリソンは固く重い双糸、双糸の生地を得意としていて好みが分かれるところです。
ハリソンは独自路線で双糸、双糸のクラシックな生地を得意としており他の競合がいないといったところです。生地にハリがあり仕立て栄えするので老舗テーラーは好む傾向にあります。
ちなみに英国らしい生地では比較的テイストの似た日本産の生地に軍配が上がるといわれています。
しかし国産生地はデザイン性に劣るため、ほとんどの高級スーツ店で取り扱いがないのが現状です。
ちなみにドーメルの生地を織っているの日本企業が立ち上げた御幸資本のはミノバ社といわれています。現在はドーメルと共同出資という形と聞いています。
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