個性の必要性
紺かグレーの上質な生地に丁寧な仕立のスーツに白のドレスシャツ、黒のストレートチップの組み合わせはかっこいい。しかし、普段使いには、まさに雑誌を参考にしたか、店員に勧められたような格好では面白みがない。
多くの成功したブランドには「自己同一性」、すなわち他者との違いが明確にある。
今では当たり前のベージュ、淡いブルーなどのスーツが一般に普及したのはブリオーニが1940年代に発表してからだ。それらの色を取り入れるだけで当時は革新的だった。
現在、最も成功しているスーツブランドと言えば「トムフォード」だ。男性性を前面に押し出したスーツは強い灰汁を持っている。
例を出せば、ルブタンの靴はピンヒールに赤い靴裏という一目で識別できる視覚的違いがある。ルイヴィトンのダミエ、モノグラム。
人間も同じだと感じる。歴史上、評価される人物というのはみな性格の面、ファッションの面でも個性的だ。
アップル社の元CEOの故ジョブズ氏は非常に個性的なことで有名だ。そのことが仇になりアップル社を追われた過去を持つ。
ジョブズ氏の周知のタートルネックにジンズ、靴はニューバランスという出で立ちは、多くのシリコンバレーの起業家にも真似されている。
ジョブズ氏がソニーの工場に訪れた際、盛田昭夫氏に同じ作業着を着た工員について尋ね「労働者とソニーの絆」と言われ、感銘を受け制服として作ったものだ。だがアップル社の従業員にブーイングを受け自身で着ることになったという逸話がある。
ちなみに氏は銀行などの交渉時はブリオーニのとびきり上等なスーツを着用したといわれる。
すなわちアップル社の顔役として、意図的にセルフイメージを構築した。
以前もマッカーサーのコーンパイプを介してセルフイメージについてブログで紹介した。
(リンク先http://www.sartoriacorvo.com/blog/2016/09/post-380.php)
(個性を押し出したスタイル)
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