2017年7月
最良のスーツ①(最良のスーツとは)
私がCorvoを起業したのは2011年だ。「最良のスーツを売り出す」という思いでこの業界に飛び込んだ。
当時は「オーダースーツ」がちょっとしたブームだった。スーツが単なる「仕事着」という位置づけから付加価値を求められるようになったのは、この時期からだったと思う。
どんな商売だってそうだが、金をかければいい物はできる。それに消費者が払うかは別だ。
スーパーカーを手縫いのフルオーダースーツと言えば、Corvoのスーツはレクサスといったところだ。
いいものの定義をスペックを重視し、普段の使い心地を無視したものでよいと言えば、手縫いのフルオーダースーツには敵わない。手縫いは体に沿ったラインを表現することには長けているが縫製が甘く、すぐほつれる。またミシン縫いではないので細かい粗はある。後はコストがどうしても高くなる。一人の熟練した職人が月に生産できるのはせいぜい3着~5着。人件費に販売コスト、広告費を上乗せしたら一着当たりの仕立て代は少なくても20万近く必要となる。銀座なら地代を含め最低30万、おおよそ50万。また、月に数着の販売量なら生地も割高になる。
結局、最低で30万、多くの購入価格帯は50万のスーツになる。
私は、普段使いは不向きで、多くの人が手の届かない価格帯を提示してそれを「最良のスーツ」とは思わなかったし、今後も思わない。
最高のスペックを求めるならフルオーダー店に、最低限のスペックを満たしたスーツなら他社、量販店さんに任せておけばいい。
私は付加価値を持たせつつも、価格の面、普段使いに適うスーツを「最良のスーツ」を定義した。(②に続く)
イタリアのスーツは男を引き立てるもの、
私はおしゃれなタイプでない。スーツ以外の服をここ10年は着ていない。
私ごとだが、最近は畑をやりはじめた。どうしても仕事に夢中になっていると季節の移り変わりを感じることなく1年が終わってしまう。だから、季節の区切りを感じるためにはじめた。獲れた作物をお世話になっている顧客様に配ろうと、ジャガイモを掘り起こしたのだが、仕事で忙しく掘り起こすのが梅雨明けになってしまい腐らせてしまった。
私は野良着とスーツしか着ない男だ。(笑)
イタリア人の男はスーツに淡い色の生地を用いた。それは自分を女性にアピールするために。英国人は自分と連れあう女性、妻を引き立てるためにスーツを着る。だからイタリア人のような派手な生地は用いない。 どちらもスーツの意味合いは、同じだ「女性」のために着るものなのだ。
女性は恋をすると、美容院、ネイルサロンに行ったり容姿に普段以上に気を使う。男性は女性の好意に返礼しなくてはならない。(竹村支配人はそうしたことに敏感なようだが、)私を代表するように日本人の男性は、お洒落に対して総じて無頓着だ。