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2017年9月

スーツの必要性②

二つ目は「相手への敬意」を示すものだと考える。

茶は堺の商人から戦国武将(現在より多くの駆け引きを必要とした時代、ある意味、経営者だと思う。)のコミニケーションツールとして発達した。千利休の高弟である織田信長の弟の有楽斎が「客を饗なす」に重きを置いた、自己の流派を確立した。

それと同じようにスーツもそうした要素がある。Corvoが撮影地を茶室にしたのはこれが理由だ。

やはりスーツは被服としては快適とは言い難い。私はスーツ屋だがそれは認める。(笑)

だが相手に「饗」そうとする、誠意を感じさせるこれほどの被服はない。

粗悪なスーツを着ている人より、仕事着としてのスーツにお金をかけている人のほうが、相手の心を開くのは早い。 普通は良い道具を使っている大工に仕事を頼みたくなるであろう。

また、それは暗に仕事の姿勢を示すだけでなく、相手に対する敬意を示す。

それが手入れの行き届いていたなら尚更だ。

アイロンのかかった高級スーツにシャツ、身だしなみに気を付けている人がいるとする。この人は人に会うためにここまで「装い」に手間をかける。そうした人は往々にして仕事にもまじめだ。

安心できるとおもうはずだ。

私は畑仕事をするときは作業着を着る。みんなに「スーツの時とのギャップがすごい」とからかわれる。(笑)作業着で店番をしたらお客様はスーツを買ってくれるだろうか?売るものは同じでも駄目だろう。

良いスーツを着ることは、相手の心を開くのも一段と早くなるはずだ。ビジネスの場では最大の「饗」になる。

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スーツの必要性①(全三回)

「いいスーツって意味あるの?」「スーツって自己満足でしょ」

こんな、話は若い人の間で何度も聞く議論だ。

まぁ、スーツなんて1万円でも買える。

このブログはあくまで、スーツ屋の商売上のポジショントークと割り引いて読んでいただきたい。(笑)

仕事の場においてのスーツの在り方について、私なりの答えを述べる。

一つはスーツにはコミニケーションツールの意味があると考える。

ビジネスの場では、互いの意思疎通に関して苦慮する場面が多い。互いの利害の落としどころを探る交渉となれば、なおさら難しい。

ビジネススタイルの変化でスーツの在り方は変わったが、しかし上級職に就く者はスーツを着る機会が多い。

だから、多少なりとも、スーツの知識は持っている。 「そのスーツどこで作ったの?」 「オーダーでロロピアーナです。」 と返せば、大概「生地はロロピアーナが最高級」ということは有名であるから、聞いた側も知っている。

そこで一つの共通な話題が相手の心を開くことはよくある。

麻生太郎さんが海外の首脳に受けがいいのはスーツにあるといわれている。

ひと昔前のゴルフしかり、もっと古く言えば戦国武将たちの茶の席も、一つの共通した経験、話題を提供するコミニケーションツールだった。 スーツはコミニケーションツールなのだ。

もとを言えばスーツの源流は集まりの衣装だ。

「いい服着てるじゃん。」「あなたの服お洒落ね。どちらでおつくり?」

という具合に、昔の貴族も話のタネに互いに語り合ったに違いない。それで身上を潰した貴族も多くいたのだろうが。(笑)

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制作事例 トーマスメイソン

「THOMAS MASON」 トーマスメイソン 

1796年、産業革命の真っ只中に英国で誕生したシャツ生地メーカー。英国王家御用達、英国生地の最高級綿織物として最高位のクオリティを保証。高級シャツの代名詞とも呼ばれる。

 

今回ご紹介するのは、大阪店顧客であるH様お仕立てのトーマスメイソンゴールドライン、淡いブルーのドレスシャツ。

シンプルな作りで、シーンを問わない使いやすさ抜群の色合い。衿はセミワイドタイプ、タイドアップには最適の襟型です。クールビズでのノータイも終わりに近づき、ネクタイに悩む季節に入ろうかというところ。こちらのシャツはコーデのバリエーションも豊富でお仕事でも大活躍する一枚となります。肌触り、着心地に優れ、シーズン問わず着用いただけます。

 

綿100%140×140 

 

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Price:¥28,000+tax

神戸店 現物おススメ生地

朝晩は少し冷え込むようになってきましたね。

徐々にジャケットを羽織って出勤されている方を見かけるようになりました。

 

さて今回は、神戸店より。普段は取り扱いのない希少な生地をご紹介いたします。

 

「TESSITURA DI NOVARA」

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シルク専業の織り元として有名な「ノヴァラ」社の歴史は80年以上前に遡り過去にはイタリア軍のパラシュートの製造から大手ラグジュアリーショップまでシルクを用いたアイテムを卸していました。

ウールとは違い原毛がかなり細いので、手に取って実際に触ってみると非常に軽く滑らか、それでいてシルクの中では耐久性にも優れているのがノヴァラの特徴。

 

シルクは季節を問わず着用いただける生地で、今から冷え込んでくる季節にはしっかりと保温して、夏に着用されてもは吸水性、通気性があるので心配なく着用いただけます。

 

お色柄は昨今のクラシック回帰のスタイルにピッタリなグレンチェック。

 

Silk100% 2Pスーツ ¥150,000

 

super200

秋冬シーズンに入って夏前に生地商社に注文した生地が続々と入荷してきている。

名古屋店で生地の紹介をすることは珍しいのだが、これはぜひ紹介させていただきたい。

あまり数値的な測りで生地の良し悪しを語ることは好まないが、これは別格である。

2017917161832.JPG仕立て価格3P¥380,000- ※「駿」の場合

この生地で使われる原毛は[Super200]である。 しっとりとした、真綿のような柔らかい手触り。指の腹でなぞるとトロミがある。写真では伝わらないことが惜しい。。

当然、[Super200] の生地は日用使いには適さないが別格である。

ブランドショップなら100万は下らない。

ロロ・ピアーナのゼニスのsuper200によりフェルト感が強く、カシミヤにより近い感触となっている。光沢はこちらのほうが上に感じる。

重要な商談の際の、ここぞという時の一着として私もオーダーを通した。

限定で3着を仕入れた。普段は名古屋店に展示する。

大阪、神戸のお客様でご所望の場合は、事前にご連絡いただきますようお願い申し上げる。

大阪店現物生地紹介

大阪店現物生地紹介

イギリスの名門マーチャント「ホーランドシェリー」より Super140s×Cashmere 270g を用いた秋冬生地になります。

 

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こちらの生地では秋冬定番の素材であるカシミヤを使用している為、軽く保温性に優れたものとなっております。また、super140sに値する原毛を使用している事、カシミヤの特徴と合わせて肌触りの良いスーツに仕上がります。落ち着きがあり、季節感も漂うカラー、更にはコーディネートの幅も広がる使いやすい生地です。ワードローブに加える一着として、是非店頭で一度ご覧ください。

Price: ¥88,000+tax

 

 

 

 

 

最良のスーツ⑤(販売・番外編)

当初、Corvoは決まったお客様を相手にする個人店的な要素が強かった。それはそれで、よい面もあるのだが、顧客様が「俺はCorvoの顧客なんだ」と自慢できるブランドづくりを考えたとき不十分であった。

2014年秋には阪急メンズ館のダンヒルで接客を学んだ支配人 竹村直人を迎い入れた。 ラグジュアリーブランドの経営に関していうと

「最高の接客」「店舗空間」を提供することで、ときに実際の購入対象よりも遥かな高付加価値を与え、「買うプロセス」を商品の一部としたものとして提供するものでなくてはならない。

と定義できるとは考えている。(Corvoではあくまでも購入対象が主であるという考えだが。)

2016年夏には店舗空間に関し、Corvoの「理念」「構想」を具現化した名古屋店を出店した。

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Corvoの「最良のスーツ」を生かすのも販売員とお客様とのつながりだと思う。また、多くの新規顧客に受け入れてもらうには接客の質の向上が必要となる。

この業界、Corvoはまだまだ伸び代がある。

2017年秋にまたラグジュアリーブランドでの勤務経験者(羽場フィッター)を迎え入れた。

「接客も商品の一部」という概念を基に店舗空間、その他諸々の改善を図っている。 多くの顧客様に、まだ途上段階にあるCorvoを愛顧していただけることに感謝に絶えない。これからも支援を賜りますようお願い申し上げる。

最良のスーツ④(デザイン)

ほとんどのスーツ店は縫製工場の持っている型紙をそのまま、利用している。言い換えればその工場の形のスーツをブランドタグ、店名を変えて売っているにすぎない。

残念がるかもしれないが、多くの百貨店に入る有名ブランドも、街中のスーツ店も価格は違うが同じスーツということも。タグを見せなければわからないものを、付加価値と呼べるのだろうか?

「最良のスーツ」としての他の要素は満たしが、「Corvoのスーツ」は「Corvoのスーツ」という付加価値を求める上でデザインは重要だった。 2016年の経営課題として本格的に「意匠の提案」を取り組んだ。(2015年から旧「奉文」は取り扱い開始) 縫製工場には普段は使われていない、かつて作った試作品の型紙が多数ある。私はそれをひっぱり出してきて、補正を何度もかけ「莞爾」「奉文」の作成にあたった。

多くの縫製工場では規格化され補正が効かない。そこは提携先の手裁断の強みが活かされた。

「莞爾」「奉文」の発表のため、2016年7月初めてロケ地を借りて撮影を行った。暑くて皆、頭がくらくらした中での撮影だった。あとで「なぜ7月を撮影にした。」と恨み辛みを言われた。(笑)

実際のところ、ホームページに掲載して反響はすぐにはなかった。しかし、1か月ほどしてから「莞爾ってどんなモデルなのですか?」と徐々に問合せが増えてきた。いまではCorvoのアイコンとなった。

特に2017年に発表した「駿」はすこぶる評判がいい。ダブルの意匠を独自で提案しているブランドはほかにないのがウケたのだろう。とくにダブルの型紙は10~20年以上も前のものを使っている工場がほとんどで今の流行に合わない。「ダブル=ださい」を払拭できる意匠になったと自画自賛している。

どのモデルも本来のスーツの意匠に、施されていた伝統的な仕様を組み合わせているので不自然さがない。「提案」することに主眼をおいて奇抜なものなることは避けたかった。通好みの意匠だ。

201791015358.jpg Corvoのスーツならひっくり返してタグを見せなくても、Corvoのスーツと分かる。さらにスーツ好きには一目見て「計算された優れた意匠」と分かる。(⑤に続く)

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