最良のスーツ④(デザイン)
ほとんどのスーツ店は縫製工場の持っている型紙をそのまま、利用している。言い換えればその工場の形のスーツをブランドタグ、店名を変えて売っているにすぎない。
残念がるかもしれないが、多くの百貨店に入る有名ブランドも、街中のスーツ店も価格は違うが同じスーツということも。タグを見せなければわからないものを、付加価値と呼べるのだろうか?
「最良のスーツ」としての他の要素は満たしが、「Corvoのスーツ」は「Corvoのスーツ」という付加価値を求める上でデザインは重要だった。 2016年の経営課題として本格的に「意匠の提案」を取り組んだ。(2015年から旧「奉文」は取り扱い開始) 縫製工場には普段は使われていない、かつて作った試作品の型紙が多数ある。私はそれをひっぱり出してきて、補正を何度もかけ「莞爾」「奉文」の作成にあたった。
多くの縫製工場では規格化され補正が効かない。そこは提携先の手裁断の強みが活かされた。
「莞爾」「奉文」の発表のため、2016年7月初めてロケ地を借りて撮影を行った。暑くて皆、頭がくらくらした中での撮影だった。あとで「なぜ7月を撮影にした。」と恨み辛みを言われた。(笑)
実際のところ、ホームページに掲載して反響はすぐにはなかった。しかし、1か月ほどしてから「莞爾ってどんなモデルなのですか?」と徐々に問合せが増えてきた。いまではCorvoのアイコンとなった。
特に2017年に発表した「駿」はすこぶる評判がいい。ダブルの意匠を独自で提案しているブランドはほかにないのがウケたのだろう。とくにダブルの型紙は10~20年以上も前のものを使っている工場がほとんどで今の流行に合わない。「ダブル=ださい」を払拭できる意匠になったと自画自賛している。
どのモデルも本来のスーツの意匠に、施されていた伝統的な仕様を組み合わせているので不自然さがない。「提案」することに主眼をおいて奇抜なものなることは避けたかった。通好みの意匠だ。
Corvoのスーツならひっくり返してタグを見せなくても、Corvoのスーツと分かる。さらにスーツ好きには一目見て「計算された優れた意匠」と分かる。(⑤に続く)
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