仕立ての良いスーツの見分け方②(イセ)
良いスーツは「イセ」、「イセ込み」が多いといいます。
イセとは一般的な言葉ではないです。
今回はイセについて紹介します。
イセが多いスーツは動きやすいです。体に沿わせることができるのでゆとりを持たせても、見た目はすっきりするという理想的なスーツが仕上がります。
ご覧のように袖側を胴体側のアームホールより大きな生地を縫い付けるため、皺が出ます。
これをイセと言います。あえてイセを処理しないのが「雨降らし袖」「シャツ袖」という仕様です。
イタリア南部のナポリのスーツ、ジャケットではではこれを「抜け感」として楽しみます。
通常はアイロンでこれを丁寧に何度もかけることで皺を取り除き、成型するのです。
これを「いせを殺す」といいます。
よくハンドメイドのスーツにはイセがあって、マシンメイドにはないといわれます。
マシンによる、成型機による、量産型のスーツでもイセは多少は入っています。
ハンドの方がより多くのイセがあって動きやすいんです。
特に袖山が盛り上がった、ロープドショルダーの袖付けはハンドでないと不可能です。
肩と袖のイセ量が多いのでハンドでアイロンで丁寧にイセを処理しないといけないからです。
(ロープドショルダーのスーツ)
正直、ロープドショルダーのスーツというだけで仕立ては間違いないでしょう。
ちなみにロープドショルダーはコルヴォのスーツは標準仕様です。
あえて袖山を作らないものでもイセ量を多くとっているものもあります。その見分け方は袖の皺です。
これは着ると腕が入るので目立たなくなりますが、ハンガーやトルソーに着せると目立ちます。
良いスーツは「ハンガー面」が悪いといわれます。
それはイセがあるので人体に着せ付けた際はきれいになるのですが、ハンガーにかけると皺が目立つことを指しています。
立体的に作られている証ですね。
後イセを入れる部分としては肩線です。
上側が後見頃(背中側)
人間は前に手を出すと背中が大きくなります。
ですので背中側の生地を多く取り動きやすいようにします。
単純に背巾を出すと動きやすいスーツは仕上がります。しかし、背中に変なあまり生地が出て不格好です。
サイズ感があったうえでの前提ですが、「前ならえ」をして背中が窮屈な感じがしなければそれはイセを多くとった仕立てのスーツになります。
フィット感を追求しつつも動きやすさ追求するの技がイセなのです。
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