2019年6月
パターンオーダーとフルオーダーの違い。
なかなかわかりにくい違いで仮縫いがあるかどうか、などの誤解を生んでいます。
パターンオーダーはキャドシステムというソフトを使いベースの型紙に修正を加えます。
フルオーダーもベースの型紙は、マスターゲージと呼ばれるものを使っています。
マスターゲージに修正を加えるという点でパターンオーダーとの差異はありません。
ざっくり言ってしまうと型紙を起こすときパソコン上で行うかの違いです。 ではなぜ、フルオーダーは一般に良いとされるのか?
それは対応範囲の差です。 人の手で型紙を引いた方が体型補正などの調整は、きれいに上がります。 キャドシステムはどうしても定められた項目の補正内容を打ち込み、機械的に補正をおこなうので複雑な補正だと違和感が出ることがあります。
(それでも精度は十年前に比べ断然上がっています。)
キャドシステムも指示さえしっかり出すことができれば、フルオーダーに引けのとらない皺のない、スーツが上がります。
ちなみに一般に胸、腰ポケット位置、前肩、後ろ首などの補正は内容まで指示を聞いてくれるパターンオーダー工房はないようです。
指示を出せるかどうかは採寸師の腕によるところが大きいのですが、、
ハウスモデルに自信を持っている店舗、ブランドはパターンオーダーを採用します。 またはそのブランドの形が好きだという方はパターンオーダーの方がハウスモデルのシルェットの再現率は高いです。
どうしてもフルオーダーは顧客の体に合わせるので、シルェットはブランドの提案するハウスモデルからは離れていきます。
補正を入れなければ再現率は高いです。ですので、フルオーダーのお店でもハウスモデルの再現率を高めたい場合にはあえて補正を入れない場合もあります。
最近のスーツはなで肩気味ですので、ブランド品、セレクトショップのオーダーメイドスーツでも背中に逆ハの字のシワ、月皺が出ていることが多いですね。 補正をいれ、皺を極良くなくすことにこだわるフルオーダーも、顧客の要望に臨機応変に対応すべきですね。
スーツのシルエット
自分に合った、スーツのシルエット選びってなかなか難しいですよね。
フォーマル度が高く、ビジネスシーンに向く、信頼を得るスーツの形は「ブリオーニ」の型が典型です。
割とテーラーでもブリオーニの型を参考にしている職人は多いです。
英国スーツみたいに固すぎず、畏まった感じが適度で平均的でベースにするには良いからです。
コルヴォも創業時はブリオーニの型を参考にしたものを使用していました。(現在は使っておりません。)
南伊(南イタリア)系のスーツはどちらかといえばカジュアルな形です。
フォーマル度の高いスーツの具体的な特徴は、
① 長い着丈
② 広い肩幅
③ フロントカット(一番下のボタンから裾の開き)が閉じ気味。
④高いVゾーン
⑤緩い腰の絞り
となります。
割と③のフロントカットは重要でスーツの印象を左右します。
政治家、固い職種、営業職の方は割とこうした形を好みます。
カジュアルに着たい方はこの逆にすればカジュアルなスーツになります。
(出典https://www.brioni.com/jpから)
ディテールとしては
① ピークドラペル
② チェンジポケット
③アメフラシ袖
を追加していけばカジュアルな印象になります。
ご自身の好み、これから自分自身に合ったスタイルを見つけたい方は参考にされてはいかがでしょうか?