スーパー200の生地でスーツを仕立てる。①
ロロ・ピアーナから届きました。
ロロ・ピアーナの最高峰のコレクション「ゼニス」にある、スーパー200の生地です。
いままで、スーパー170を日常使いに、冬用のここぞの一着にゼニスのカシミヤ、ビキューナ混の生地を昨年に2着仕立て、通年用には次は何かと迷い、この生地に至った次第です。
これらの高価なスーツはテーラーが許される数少ない贅沢です。
せっかくなので、当店のフルハンドラインで作るものか、迷いに迷い フルハンドメイドラインの中でも最も上質な縫製にしようと、地場のテーラーさんにお邪魔しました。
何故、テーラーさんにお願いしたか、芯地などの細部にもこだわりたくなったからです。
あれこれと注文を付けるわけですから、意思疎通がしやすい、馴染みの地場のテーラーさんということになったのです。
去年はホワイトカシミヤのコートをお願いしています。今回で二度目の注文です。
前回のホワイトカシミヤのコートは賛否があるのは覚悟の上でしたが案の定、賛否が分かれました。(笑)
生地の色はともかく、ポロコートとしては最高の出来栄えでした。
ヘビーウェイトの生地でしたが着ると重さを感じさせないのは、首と肩に重さが分散して肩に乗っている、すなわち良い仕立ての証です。
この生地は驚くような軽くしなやかさ、肌触り、光沢、ドレープがある反面、撚りが甘く、コシがなく、毛羽立ちがあり非常にデリケートな生地です。
非常に扱いにくい生地です。 この生地を活かす仕立ては構築的な固い毛芯が相性が良いと考えました。
しかし、テーラーさんのご提案で「風合いを生かすあえて柔らかい毛芯はどうか」といわれ「お任せします」と一言。(笑)
今度、インポート物の毛芯を仕入れていただけることに。
ちなみに毛芯は縦糸はコットン、緯糸はウール、獣毛、化繊で構成されています。
この写真の毛芯は二層構造ですが通常の冬用の毛芯はフェルト、胸増芯、台芯と3層構造になっています。
(わかりずらいかもしれませんが冬用の毛芯は3層です)
一般に最高級のものは本バス毛芯といわれます。
バスは漢字で書くと馬巣です。 通常は胸増芯に馬の鬣(たてがみ)を使ったものをバス芯といい、馬のしっぽの毛を使ったものを本バス芯といいます。
特にベストはダブルのショールカラーにしたいのと、この生地で仕立てる上で毛芯を使いたかったからです。
通常、ベストはスレキまたは、接着芯を挟み、毛芯を入れるという事はしません。
夏場ジャケットを脱ぐことを考慮すれば、「ジャケットの代わりなるベストを」という事で構築的な物を注文しました。
テーラーさんと二時間ほど談笑してしまいました。 テーラー特有の苦労話とか(笑)、先輩としての貴重な経験談お聞かせ頂きました。 仮縫いが楽しみです。
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