コート用の生地のご紹介【カシミヤ】と【キャメル】
実は私、生地紹介はあまり得意ではありません。
というのも、ちょっと調べれば他店のホームページやブログのマニアックな記事がいくらでも出てくるのでなんとなく避けていました。
9/23、秋分の日も過ぎコートについて調べていると、案外コート生地の紹介がない事に気づきました。
そんな訳で今回は、コートに適した生地についてご紹介させていただきます。
コート生地の繊維は大きく獣毛系(カシミヤ、キャメル、ウールなど)、コットン、化学繊維の3種類に分けられます。
中でも高級素材といわれる獣毛系のカシミヤ・キャメルに焦点を当ててみましょう。
いきなりですが、最上級のコート用の繊維はビキューナだと言われます。
しかしビキューナはお値段も数百万という代物で、なかなか現実的な品ではありません。
(コルヴォでは取り扱い例もあります。ご希望がございましたらお申し付けください。)
カシミヤで作られたものは一般的に最高級生地として扱われており、「繊維の宝石」とも言われスーツ生地に使われるウールよりも細い繊維です。
スーパー180のウールより細いといえば、その細さが伝わるでしょうか。
カシミヤを使った生地は特有のしっとりとしたタッチとなり、これを「ぬめり」と形容しますが、うっとりするような肌触りは、その繊維の細さに由来しています。
また、カシミヤ山羊一匹からとれる量も200g程度とごくわずかで、例えばロロ・ピアーナのカシミヤ生地の中で一番のヘビーウェイトである1㎡あたり560gの生地を3m使用した場合、その製品には13頭分近くも必要になる計算です。
さらに実際は選別で使えない繊維は廃棄されるのですから、これ以上の頭数の繊維が必要となるわけです。
元々希少なもののさらに良いものだけで作られるカシミヤ生地は、重さと値段が比例するといわれるぐらい、繊維の使用量で価値が決まるのです。
カシミヤ山羊は寒暖の厳しいモンゴルの高原に住んでいるので、軽いだけでなく保温性も抜群です。
実用性も兼ね備えているカシミヤは、ひと昔前には「一生もののコート」としてこぞって買われたものです。
そして、カシミヤと似た特性を持つ繊維としてキャメルヘアーがあります。
キャメルヘアーとは文字通りラクダの毛のことで、ラクダもカシミヤと同じように寒暖の差が激しい砂漠で体温を保持するために保温性に優れています。
特に生まれて一回目の刈り取った繊維を「ベビーキャメル」と称します。
人間でも赤ちゃんの毛の方が柔らかいように、これも特に細い繊維ですから、生地の「ぬめり」はカシミヤに匹敵するほどです。
キャメルはカシミヤほど知名度がないからかあまり高価ではないのと、フェルト感が長持ちするのが魅力です。
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