2枚裁ち、3枚裁ち
お客様に納品の際に 「コルヴォのスーツは良い仕立てだね。二枚裁ちだ」 とお褒め頂きました。
「莞爾」「奉文」「チェスターコート」は2枚裁ちです。
この2枚裁ちか3枚裁ちはショップ店員でも知らない方がほとんどで、一般のお客様でご存知ない方がほとんどでしょう。
こんなことをブログにするのはマニアックすぎて気が引けるのですが(苦笑)
僕自身もお客様に指摘されるまで、2枚裁ちであるか3枚裁ちであるかを忘れていました。
スーツの原型がラウンジスーツが生まれた当初は2枚裁ちでした。
この当時はダーツもなくふっくらしたシルエットでした。
20世紀前半まではスーツは誂えの、ハンドメイドがほとんどでした。
ハンドメイドのスーツは生地にアイロンで何度も生地に熱と蒸気を加え、生地の熱可塑性を利用し立体的にしていくものでした。
20世紀後半にはミシンによる大量生産の時代になるにつれて縫製が簡略化されていきます。
アイロンワークは手間がかかる、しかし立体的な仕立てを実現するには?
そこで効率的に立体的なスーツを作るためにはどうした良いかという事が考えられました。
前身頃、細腹、後身頃の三つのパーツで片身を構成する。
3枚裁ちの型紙
3枚裁ちの上着
(白線が縫い目、赤線がダーツ)
「細腹」を取るという事です。
「細腹」はもともと主に曲線部が多い女性服に使われていた手法です。
パーツを細分化すると使用できる生地が多くなるという事で、ドイツ軍などの列強の中でも後進的立場の軍服に採用されたと聞いたことがあります。
従来の前身頃、後見頃が2枚裁ち。 前身頃、細腹、後見頃で3枚裁ちのスーツが現在の主流となったのです。
現在では3枚裁ちの方が、立体感が生まれるという事で、アイロンワークと併用しているテイラーがほとんどで、3枚裁ちが仕立ての悪いとは言えません。
しかし2枚裁ちは手間がかかる上に、生地を一着当たり20cm程、多く必要とするので現在はあまり見かけない仕様です。
ちなみに貫通ダーツ(裾までのダーツ)を入れないと、2枚裁ちは胸とお尻に膨らみが出来るので「砂時計型」と言われ、着丈の長くするシルエットになります。
貫禄を持たせたるスタイルは、貴族社会のフィレンツェなどの北部イタリアのスーツに多い仕様です。
3枚裁ちのメリットは尻周りを小さくすることができるという事です。
2枚裁ちで尻周りを小さくするためにコルヴォは貫通ダーツを入れます。
バストは大きく、ウェストはくびれ、お尻はキュッとしたグラマラスなシルエットになるのです。
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