スーツの名脇役、ボタンのお話
ボタンはスーツにとって欠かせません。
女性のアクセサリーのように小さくても存在感抜群です。
ボタンが安価なものではスーツまでもチープな印象を与えます。
仕立てのイマイチのスーツでもボタン一つでワンランク上質なものにも見えます。
光沢のあるもの、マットな物ありますが、テーラーでは高級感のある艶のあるものが好まれる傾向にあります。
スーツ、ジャケット用のボタンには様々なボタンがあります。
安定した品質の石油製品の練り釦、自然素材を活かした天然釦、金属製のメタル釦、超高級品としてべっ甲なんてものもございます。
最近では10万を超えるスーツでもプラスチックボタンっていうものも増え、天然釦のスーツは希少性を増しています。
今日紹介するのはスーツ用の高級釦の代名詞は水牛釦です。
これは水牛の角を削りだしたものです。
自然の色味を活かし、天然物で木の年輪のように、模様がどれ一つとしてないのが魅力です。
色がダークブラウン、茶、ライトブラウンに淡くなるほど希少で高価になります。
オフホワイトは最も高価な物として市場に出回っていますが、これは水牛の角ではなく、骨を削りだしたものです。
経年変化は割としにくいという特徴があります。
意外と注目されないのが「ナット釦」。
本水牛釦に次ぐ高級釦とし使われます。
これはエクワドルのタグワ椰子の実が原料となっています。
完熟を通り過ぎ、落下し乾燥し硬化した種子を原料としてます。
この原料となる種子は「象牙色」で乳白色をしています。
染色が容易なため、様々の色味のナット釦が出回っています。
経年変化で濃くなるのを楽しめる釦とされます。
水に弱く色落ちしやすいため、注意が必要とされます。(私個人的には色落ちで不便を感じたことはありません。)
ナット釦は水牛釦より柔らかな印象になりますので、ジャケット、夏用の薄手、淡い色のスーツにオススメです。
ちなみに英国調のスーツとイタリア系のスーツに使うボタンって形が違います。
イタリア系のスーツ、特に南部イタリアのテーラーはお椀型のボタン好んで使用します。
(ひっくり返した写真ですがわかりずらいですが、ご了承ください。)
僕の推測ですがお椀型はナポリのスーツに多い重釦にした際に、釦の重なりが綺麗になるからでしょう。
また、このお椀型のボタンは直径がほかのボタンより1㎜小さく、針孔が小さいのが特長です。
針孔が小さい釦はボタン付け専門の工業用ミシンでも取付けることが不可能ですので、手付けの証になります。
英国調のスーツに多いのは平ぺったいお盆状の形です。
アメリカ系はこの真ん中が凹んだものを使います。
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