2021年2月
シャツのお話(パターン)
良いシャツのパターンが曲線であることが上げられます。
英国製のシャツよりイタリア製のシャツの方が曲線的に作られている場合が多いです。
わかりやすいのが襟です。
セミワイド、ワイドが主流ですが、単純に襟の開きではシャツの襟型は語れません。
一般的なワイド
どちらかといえば英国製は直線的作り、イタリア製は曲線的な襟型です。
イタリアのブランドシャツを参考に仕立てたシャツ
イタリア、特に南部のシャツはカーブしているので襟とのロールが綺麗です。
ノータイでも襟の立ちが良いです。
また襟の側面がスーツの襟に乗りにくいようにカーブしています。
やはり温暖なイタリアではシャツ単体、ノータイで着ることを考慮されているからと思います。
やはり英国のシャツはタイドアップとジャケットの着用を前提に作られているので、ノータイで着るとしっくりきません。
英国製のシャツはややゆとりを持ったものが多いです。
イタリア系はタイトで、脇にグット噛ませたシャツが多いです。
専門的な話になりますが袖山を高くして、動きやすさを維持して、正面からみて細くするという仕様もナポリ系のシャツには多いです。
袖山を高くするとスーツのジャケット同様に下にむいた袖付けになるので、腕を上げにくくなるのですが、ドレッシーな印象になります。
そこで、ナポリなどのシャツはギャザーを多めに入れることで可動域を確保します。
ナポリは見た目と着心地の両立がうまいです。
英国人はジャケットを着用を前提にしているために袖山は低く、腕が上がりやすく、袖巾もかなり大きい物が多いです。
またカフスもイタリア系は手首にグッと締まるくらいきつめのものが多いです。
英国スタイルもイタリアスタイルもそれに合わせたシャツがなくては成立しません。
コルヴォではお客様のお好みのスタイルに合わせてご対応が可能です。
シャツの話(仕立て)
今日は仕立ての違いについて紹介いたします。
シャツはジャケットを着ると襟と胸しか見えないと油断するとスーツの魅力を落としてしまいます。
せっかくイセの多いスーツでもシャツがダメなら動きにくく、着疲れしてしまいます。
良いシャツは総じてミシンのピッチ(間隔)が狭いです。 これは、特に実用面では意味はありません。(笑)
ピッチが狭いと見た目にも精巧なつくりの印象を与えます。
動きを考慮し、良く動く脇下はピッチを広く取り、動かない襟などは狭いなど要所ごとにピッチの違う物は高級品によく見られます。
ひと昔前までは安価なシャツは脇の縫い目はロックミシンでしたが、最近は安価なシャツでも本縫いが主流です。
本縫いは縫い目を内側に織り込むことで洗濯によるダメージを防げることと、縫い目が肌にあたること避け、着心地が良くなります。
特に西洋ではシャツを下着とし、インナーも着ずに着るので、着心地には気を使います。
肩に皺が寄っている(ギャザーと言います)のはイセ量が多い、動きやすいシャツの証です。
好みが分かれるのですが、日本の仕立屋さんは皺を切る傾向があり、老舗でもシワのないシャツが多いです
よく言われる背中心に切れ目のあるスプリットヨークは立体裁断の証といわれますが、高級シャツで見たことはありません。
男性服の考え方に、いかに少ないパーツで立体に仕立てるかが良い仕立ての証となります。
(作り手からするとパーツが多いと生地の取り都合がよく、生地が少なく済むので、その言い訳かも)
高級シャツは襟のパターンが曲線であることが上げられます。これは別でご紹介いたします。