オリジナルバンチブック
オリジナルバンチについて⑦お客様からの反応(全7回)
全7回にわたってご紹介してきたオリジナルバンチの投稿も今回が最終回です。
皆様からご好評をいただいております、オリジナルバンチは既に数点品切れが出ている程の人気となっており、特にブログでご紹介させていただいた生地は入荷待ちの物もございます。
オリジナルバンチよりお選びいただいたお客様からは、前述(第2回で)しましたように生地の復元性が高くシワになりにくいことから、新幹線や飛行機で長時間座っていてもシワが気にならず一日中着用されていても、ハンガーに吊るしておけば翌日にはシワがなくなり移動時間が長い時などは重宝していただいているとの声をいただきました。
もちろんビジネス用だけではなく、当店オリジナルバンチのイタリア生地で結婚式用のタキシードをお仕立ていただいたお客様からは、光の反射率が高く美しいドレープの出る鮮やかなブルーの生地で仕立てていただき、通常のタキシードとはまた趣の違う仕立て上がりになり結婚式会場でも、大反響だったそうです。
(写真中央が当店の顧客様のK様です、ご両親と) (奥様とご出席された皆様とご一緒に)
(お仕立ていただいたイタリア産スーパー120sの生地)
年齢層の幅広い顧客様にはラグジュアリーショップで買い物をされている、ファッションに対する感度の高い方、士業、経営者、会社、業界を牽引する幹部層の方々が多くいらっしゃいます。
そうした顧客様たちの共通点と言えば、しっかりとセルフイメージを把握し、自らプロデュースをし、仕事に対して情熱のある方から当ブランドのオーダーメイドスーツをお選びいただいております。
そういったラグジュアリーを知る方々から選んでいただけているのは、我々がチョイスしてきた生地、仕立てに間違いないということを証明出来ていると強く感じ、これからも当ブランドのスタイルを発信していかなければとならないと考えております。
構想から数か月の制作期間を経て完成したオリジナルバンチは、着実にお客様からの信頼を得ております。
オリジナルバンチをお選びになったお客様に「最高品質のスーツを提供する」というCorvoの理念が浸透していっていることでしょう。
<ハウスモデルから少しボタン位置をさげたスタイル>
現在は感度の鋭い購入層からVゾーンを深く下げたスタイルが主流となっております。
ハウスモデルに対し、マイナーチェンジとして3cm程度ボタン位置を下げたスーツに対しドレープの効いた生地は好相性だと人気を博しています。
実際にオリジナルバンチにご用意させて頂いた生地の中に、そうした型に相性のいい生地も多くご用意しております。
そして、お客様から頂いた声を反映させオリジナルバンチの生地のラインアップを、少しづつ増やしていっておりますので、また詳細は後日アップさせていただきます。
お楽しみお待ちくださいませ。
オリジナルバンチについて⑥制作事例(全7回)
第6回は制作事例です。
当店のオリジナルバンチより
ホーランドシェリーで仕立てたダブルブレステッドのスーツ。
英国海軍の制服から生まれたとされるダブルブレステッドのジャケットは、元々は防寒用のジャケットとして作られたとされ、本来は衣服の上前と下前のどちらにもボタンホールが開けられていて、風向き等によってどちらにも合わせられるようになっていたそうです。
そのダブルの特徴としては、もちろん防寒の機能もありますが、威厳のある雰囲気になり、尚且つ胸の高さが強調され重厚な存在感の中に、男性らしい力強いシルエットが生まれるという点です。
こちらのホーランドシェリーの生地も落ち着いた印象のミディアムグレーですが、ブルーの2.5cm幅のチョークストライプに袖付けをロープドショルダーにすることで、威厳を持たせつつ、チェンジポケットを付けて古き良き英国紳士のスタイルを再現しています。
ボタン位置を通常より1cm程下げてVゾーンの印象を強くしたジャケットで、クラシックなレジメンや小紋柄のネクタイも相性が良いですが、写真のような、ペイズリー柄のタイを合わせると上品な印象となります。
当店のスーツは、胸の高さを強調する男性らしいシルエットを得意としておりますので、少し太めのストライプ生地や写真のような2.5cm幅のストライプ生地がお勧めで、ボタン位置の幅を変えることも可能なので、ハーフブレストなどもお仕立ていただくことが可能です。
ホーランドシェリーの生地はこの他あと4色のチョークストライプと5種類のオルタネートストライプをご用意しておりますので、お客様のスーツが上がり次第また投稿致します。
次回は、最終回 オリジナルバンチお客様からの声。
オーダースーツCorvo
オリジナルバンチについて⑤厳選生地について(全7回)
当店オリジナルバンチの60種類の取り扱いがありますが、そのうち半数はイタリア生地のご用意となります。
Corvo厳選生地ということで今回はブランド名は控えさせていただきますが、前回ご紹介のホーランドシェリーと同様に力を入れたのがこちらのイタリア生地です。
高級生地の名産地、イタリア北部のピエモンテ州ビエラ市で創業した老舗ミルで、イタリア生地らしい柔らかな風合いと美しいドレープが特徴的です。
ちなみにロロピアーナやエルメネジルドゼニアが創業した地としても有名な町で、 アルプス山脈のふもとに位置し、良質な水に恵まれた地域ですので、 繊維産業が自然と発展していったのかもしれません。
そして、当店オリジナルバンチで扱う生地もビエラ地方の老舗ブランドをはじめ、スーパー110s~140sの上質なウーステッドを使用した生地を中心にチョイスしております。
細い原毛を使用するのは、Corvoのアイコン「奉文」(ともゆき)との相性もよく、脇にしっかりと噛んだアームホールからウエストラインにかけてのドレープが美しい曲線を描きケマワシへと落ちていく、このスタイルは柔らかな風合いのイタリア生地を用いることによって一層映えるからです。
こちらの生地はイタリアでは老舗中の老舗としてキートンやブリオーニといった高級メゾンからの信頼も厚く、 長期に渡り開発から製造までを共同で行っていることからもこのブランドの技術力の高さが窺えます。
温故知新というように伝統的な技術と先進のテクノロジーを融合させた手法は、イギリス生地では見ることのできない イタリア生地独特の風合いが特徴です。中でもおすすめのマイクロチェックの生地はイギリス地のような単調なチェック柄ではなく、光の陰影によって色味が少し変わり高貴で上品な印象となっております。
次回は、当店オリジナルバンチよりお選びいただいた生地の制作事例です。
オーダースーツCorvo
オリジナルバンチ紹介④厳選生地(全7回)
本来はオリジナルバンチに集められた生地ブランドは伏せたいのですが、どうしても気になるというお客様のために一例を。
ロンドンのメイフェア地区にある紳士服店が集中しているファッションストリート、「サヴィルロウ」は紳士服の始まりともいわれるこの通りには、古くはナポレオン三世やウィンストン・チャーチル、ハリウッドを代表する俳優など、一流を知る顧客から絶大な支持を得ていることでも有名です。
http://gqjapan.jp/fashion/wardrobe/20151103/opinionより
王室の方々からも支持されているこのサヴィルロウの名店から絶大な支持を受けているのが、世界屈指のマーチャント(生地商社)「ホーランドシェリー」社です。
ドブクロス低速織機にてじっくりと織られた生地が有名で、最新の高速織機では出すことのできない柔らかな風合いと弾力性に優れております。
季節毎のコレクションも豊富で、諸説ありますが、バンチブックを使った販売方法を初めて用いたのもホーランドシェリー社とも言われております。
そしてcorvoのオリジナルバンチのまず初めに登場するのがこのホーランドシェリーです。
しっかりと打ち込まれた生地は英国生地ならではの耐久性がありハードなビジネスユースに耐えます。スーパー140sの極細の原毛を使うことで美しい光沢を纏います。
ビジネスユースを意識したオルタネートストライプ、グレー生地などバリエーション豊富なのですが、特におすすめは大柄のチョークストライプは、corvoのアイコンとなるモデル「奉文」(ともゆき)と相性がよく、英国の伝統的な意匠を肌で感じることが出来ます。
現在の流れは女性的に線の細いスーツが、伝統的な男性的力強さを纏ったスーツに振れている感があります。
大柄のストライプは本来は英国生地の定番でした。しかし、近年の細いラペルのスーツには柄がうまく乗らず相性が悪く、人気は下火気味でしたが、最近のスーツはまた襟巾が広くなりつつあり感度のいい購入層から人気が戻ってきた感があります。
第五回は引き続き「厳選生地について②」に紹介させていただきます
オーダースーツCorvo
オリジナルバンチ紹介③バンチ作成(全7回)
Corvoのバンチブックは外観、サイズにもこだわっています。
やはり、通常サイズのカードサンプルで実際の仕上がりとの印象が大きく変わるものです。
Corvoでは、お客様には生地が最も美しく見えるように通常の倍以上の大きさで、黄金長方形でカットした生地をご用意し、通常サイズのバンチでは作り出すことのできない、より出来上がりに近い形でご覧いただけます。
初めは通常のバンチのサイズで作ろうということであったのですが、顧客重視の観点を重んじるCorvoでは制作コストのかかる大きめのバンチにすることにしました。
いい商品、いいサービスを提供することにより多くのお客様に来ていただければコスト圧縮できるというCorvoの精神がこのバンチにも宿っています。
下の画像は制作過程の生地サンプルの切り出しです。
(輸入された状態で数十m単位で巻かれた生地にチャコで必要分にしるしを入れます)
(ハサミで一気に切り上げます。きれいに切るためにはリズムが大事だとか。)
(さらに裁断機に入れる前にチャコでしるしをつけます。実際にサンプルになったときに柄を一番お客様に見ていただきやすいようにと柄合わせだったり、意外にコツがいるそうです。)
(何十年も使い込まれた裁断機。油できれいに磨かれていました。今ではこの裁断機を製造しているところはなく、これからも現役でいてくれないと困るそうです。)
(出来上がったサンプルたちです。※写真の生地はCorvo用のものではありません。)
出来上がったサンプルをバンチにスタッフ自身ではさんでいきます。
Corvoのスタッフたちで「この生地はこの顧客さんにすすめよう」「自分用にこれを買おう」などと印象を語りながら、はさんでいくのは楽しいものです。
外観は濃紺のリザード調の型押し、金箔印字となっておりバンチブックとしては最上級の仕上がりとなっています。大きさゆえに迫力があります。 一流生地ブランドもここまで上質のバンチを作っているところはないでしょう。
次回は厳選生地の詳細について
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オリジナルバンチ紹介②生地選考(全7回)
生地選考について まず生地を選考するにあたり、ちいさな生地サンプルを数千種以上を生地商社にご用意いただきました。
その中から、選考基準を満たす生地を探していくわけですが、これがなかなか楽しいもので私は休みの日を利用してオリジナルバンチの生地探しをしておりました。
良質な原毛を用いることは当然のことですが、打ち込みがしっかりしていないと強度、皺に対する復元性は落ちてしまいます。
打ち込みというのは単位面積当たりの糸の使用量を指しており、しっかりしているというのは多くの糸を使っているということです。
そして生地の撚り方、太さなどでその生地の強さ、復元力は変わってくるものです。
ビジネスユースを意識し一日中着用されていたとしてもその次の日ハンガーにかけておくだけで嫌な皺はほとんど消え、また、擦り切れたりということがない生地を選びました。
第一回で述べたように上質な原毛を用いてウェイトもしっかりとある仕立て映えする生地を選ばなければ良いスーツは生まれません。
そこで我々が最終的に選出した60種類の生地には英国生地メーカーを代表するメーカー、高級メゾン御用達の生地メーカーの生地から選出したスーパー120s~140s、ウェイトは250~280g程度のものがメインとなっております。
あえて生地メーカーの名を伏せたのは、ブランド名に惑わされず本当にいい生地を手で触っていただきその良し悪しを判断していただきたいからです。
色味や柄は当店のアイコンとなる「奉文」(ともゆき)に代表されるようにCorvoのスーツとは「テーラードの伝統を守りつつも、クラシックな趣を残しつつも、どこか都市的である」との意匠の考えの基、幅広めのストライプ、マイクロチェックなど他店では取り扱いの少ない生地を豊富に揃えました。
本当は書き足りない気持ちですが、具体的な生地紹介は第四回に譲るとします。下にそのほんの一部を写真にて紹介いたします。
三回はバンチの作成についてご紹介させていただきます
オーダースーツCorvo
オリジナルバンチ紹介①(全7回)
Corvoの「よい縫製のスーツは生地にも責任を持つべきである」の考えの基、さらには兼ねてよりのCorvoらしさを求め生地から提案したいとの思いから、オリジナルバンチの制作にあたることに踏み切ることになりました。
今シーズン(2016SS)からの試みで、厳選に厳選を重ね、60種以上の生地を集めました。
現在のオーダーメイドスーツ店の生地の流通というのは生地商社、大手生地メーカーの発行するバンチブックという数十種の生地が束ねられた見本帳、「バンチブック」からお客様に生地を選んでいただくという方式です。
この方式は在庫をオーダーメイドスーツ店が直接抱える必要がなく、多くの生地をお客様に選んでいただけるメリットがあります。
この方式が、一般的になる以前は、それぞれの店の店主たちが生地商社から仕入れた生地を在庫として抱え、自分たちのお勧めの生地として顧客の皆様たちに提供していました。
「バンチブック」の流通は在庫リスクからの解放、商品の多様性と引き換えに、店ごとの個性をなくした面があります。
そこでCorvoは、自分たちの考える形やアイディアを具現化し、数多ある生地の中からCorvoの選考基準を満たしたものだけを選び抜きオリジナルバンチに採用しております。
生地商社さんにはまずは「ハンドワーク、アイロンワークを多用したCorvoのスーツにふさわしい生地」ということで数千種類のサンプルを用意していただきました。
アイロンワークとは熱と蒸気を加え生地を変形させる工程を指します。アイロンワークを多用した生地というのはある程度のハリ、コシがなくては立体感が維持できません。
ハンドワークは通常のミシン縫いに比べテンションがかかるためハリ、コシがないと意図しない皺が出てしまいます。
相当数の生地がありましたので、そこから当店の形に合うものを見つけるには、数ヶ月間にわたって事務所、時にはご厚意で倉庫にお邪魔させていただき何度も打ち合わせをさせていただきました。 営業時間を超えても尚、お付き合いいただいた担当者の方には本当に感謝しております。
次回、選考についてご紹介いたします。
オーダースーツCorvo