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代表コラム

ジョン・クーパー

今季、初めて入荷した「ジョン・クーパー」。

いつもは生地紹介は外のサイトであふれているのでうちではと思うのですが、 この生地は紹介せずにはいられません。

生地好きでもご存知のない方が多いのでは。

「ドブクロス」のザ・英国生地です。

イタリア系の生地のような柔らかい生地が人気の中、英国生地もだんだんとイタリア生地に似てきて違いがなくなってきた今、ジョン・クーパーは大変に珍しい存在です。

「ドブクロス」は昔ながらの「ドブクロスルーム」という名の低速織機で織られた生地です。

一台の織機で一日40m程度、現在は世界でも14台しかないそうです。

マニアの間では「ドブクロ」とも呼ばれ空気を含んだようなその独特の風合い、希少性から人気があります。

ハリがって、英国の曇り空のようなスモーキーな色味、この武骨さはクラシカルなスーツスタイルには最適です。

イタリア生地のような自己主張ではなく奥ゆかしい感じも、レディーファーストの国、英国らしさです。

10年後、これらの生地が手に入るかどうかの希少なものになります。

単に古いものをヴィンテージ生地というのではなく、本来はこうした生地を後世に伝える価値のある本当のヴィンテージ生地だと思います。

合わせるなら黒いストレートチップに白いシャツに、白リネンのチーフとイメージが湧きます。

着分のご用意でツーパンツ、ものによってはスリーピースでの対応は不可となっておりますが、通常よりかなりお値打ちでご購入いただけます。(詳しくは店頭で)

※名古屋店のみでの取り扱いになります。


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チーフの選び方

チーフって本当に装飾の意味しかないものですが、存在感があります。

特に日本人は西洋人に比べ胸板がないので、胸ポケットにチーフを指すというのは立体感が出るのでお勧めです。

ちなみに胸ポケットには本来、銃弾から心臓を守る鉄板を入れていたそうな。

白のリネン、シルクは鉄板です。

白のリネンはチーフの中でもっとフォーマルでモーニング、燕尾服、タキシードに合わせられます。

白のシルクは現在ではタキシードなど、パーティーシーンに合わせても問題ありません。

これらの白いチーフはビジネスシーンに使用しても問題なくお使いいただけます。

ビジネスシーンにおいてのチーフに特段決まりはありません。

挿し色としてチーフを使う場合以外は色味がスーツ、ネクタイから違うと全体的にアンバランスになってしまいます。

ネクタイとの色味合わせると全体に統一感が出ます。

紺のスーツなら青い縁取りのチーフというのも統一感を生み出す手です 柄も素材も自由です。

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ベージュのスーツに黄色、黄土色のチーフ、茶のネクタイの例

冬物にはウールのチーフというものも御座います。

グレーンチェック

ここ最近の英国調の流れで良く目にするグレーンチェック。

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この間、書店にてグレーンチェックに黄色のオーバーペンのフランネル生地のスーツに 、薄い水色のシャツ、茶のペイズリーのタイをした方をお見掛けしました。

年配の方で70代、80代の方でしたが非常に色合わせがうまくカッコイイなって見とれてしまいました。

ちなみにグレーンチェックにブルーのウィンドーペンを重ねたものを「プリンスオブウェルズ」と呼びます。

エドワード8世ことウィンザー公が「プリンスオブウェルズ」の地位にあった際、好んで着ていたからといわれています。

今ではグレーンチェック、赤、黄色などのオーバーペンのものも合わせて「プリンスオブウェルズ」と総称します。

主張がある生地なのでお堅い職種の方、ビジネス用途には使いにくい面もありますが、洒落感があって英国調を表現しやすい生地です。

今では一般的になっている、当時女性ものの靴とみなされていたスエードの靴をスーツに合わせたのもウィンザー公といわれています。

柄シャツをスーツに合わせる、スーツを2ピースで着る、ダブルモンクの考案者として知られています。

私はウィンザー公にあやかりグレーンチェックのスーツを着る際はスエードか、ダブルモンクと決めています。

柄選び(ストライプ編)

スーツの生地選びで初めに迷うのが柄ではないでしょうか?

今回はストライプについて。

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チョークストライプ

チョークでなぞったようなストライプ

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バンカーストライプ

スタライプ同士の巾が約1~1.5cmの物の総称

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ペンシルストライプ及びオルタネートストライプ

ペンでなぞったような細い線のストライプ

 

まずは代表的なものから

2、3年前までチェックの流行で埋もれがちでしたが最近、英国調への回帰の流れでまたストライプに注目が集まってきています。

ストライプは貫禄を与えつつも、体をスリムに見せる効果もあるのでお勧めです。 ストライプ一つにしても巾、太さ様々なものがあります。

派手なものを選べば、一歩間違えばギャングに。(笑)

ストライプとの間隔が1㎝~1.5㎝前後のものを「バンカーストライプ」と呼びます。

所謂、銀行員、金融関係の方が好んで着るという意味で「バンカーストライプ」と呼ばれます。

ビジネス用途のスーツに最適で、信頼感を与えるストライプです。

ギャングになるのを避けるには巾2㎝ぐらいにとどめるのが無難でしょう。

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オルタネートストライプ

オルタネートストライプは2種類のストライプを織り交ぜたもの指します。

バブル期に流行しておじさん臭いというイメージがあります。

裏返せば、貫禄と渋みを出せる柄とも言えます。

オルタネートストライプは僕も好きな柄です。

真面目な雰囲気を出したい時によく着ます。

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色糸系のストライプ

ストライプは白色のものが多いですが、赤、青、黄色など色を使ったものもあります。

派手になりやすく生地選びの際はスタッフとよく話し合って選ぶのが無難です。

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織のストライプ

織でストライプを出した、ちょっと変わったストライプです。

ストライプは割と雰囲気が似通ってきます。

オルタネートストライプ、色糸系のストライプと同様にちょっと人と違うものが良いという方にオススメです。

ストライプの生地を選ぶお勧めのブランドはゼニアです。

ゼニアはビジネス用途の生地をメインに扱っていますので、ストライプの生地の提案が多い生地ブランドです。

他のブランドとは違い、捻りを効かせた、オルタネートストライプ、へリングボーンを合わせたものを得意とします。

リザードのシューズ

爬虫類の独特の革の感じが僕は好きです。

リザード、クロコダイルって「リッチ感」に伴い「金満臭」、「悪趣味」「怖い人(笑)」というイメージがあって合わせにくいアイテムですよね。

2、3年ほど前にエキゾチックレザーにはまって、立て続けに2足リザードのシューズを購入いたしました。

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ブランドは2足とも同じスペインの靴メーカー「カルミナ」です。

「カルミナ」を含めスペインの靴メーカーは、総じてシャープさがあって、つくりはイギリス靴に多い堅牢なグッドイヤー製法が多いです。

スペイン靴は知名度から英国、イタリア製の靴に比べコスパが良いです。

「カルミナ」は特にエキゾチックレザーのコスパが良いと定評があります。

私は靴についてはあまり詳しくないのですが、個人的に「カルミナ」は気に入っているブランドです。

コルヴォにはジョンロブ、ビスポークというお客様も多いので靴を話題にするにも気を使います。(笑)

エキゾチックレザーをスーツスタイルに取り入れ「リッチ感」を演出するのなら、コスパの話は無しにすべきでしょうが。(苦笑)

2,3年前まで通常、クロコダイルで50万、リザードで20万前後ですが、カルミナでは15万、10万程度で購入できました。

年々、インポートブランド物は値段があがっていますので、現在もこの金額より上がっているかもです。

特にローファーはセールで7万程度買えたと記憶しています。

リザードはアクが少なくエキゾチックレザーにしては取り入れやすいアイテムかと思います。

エキゾチックレザーに共通するのが革が牛皮に比べ柔らかく、履き馴染みが早いです。

「カルミナ」はダブルモンクの形に定評があります。

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近年のダブルモンクの流行の中で「カルミナ」の認知度を上げた、「カルミナ」のアイコン的アイテムです。

尖りすぎず、丸くなりすぎず、適度な塩梅がイタリア、英国スーツどちらにも合います。

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「カルミナ」のタッセルローファーは英国系のローファーに比べシャープでドレッシーで今どきのスーツタイルに好相性です。

予算十万で最良のスーツを買うには。

コルヴォの中間価格帯はフルオーダーラインで15~25万前後。

「コルヴォは高い」 そんなイメージを持たれていませんか。

最近は縫製工場も生地商社も年々、値段が上がって言います。

10年前と比べインポート生地は顕著に円安、原材料高騰のあおりで1.5倍ぐらいの値段に。

更に昔は、「30年前はこの生地は○○円、あの工場の縫製賃は○○円だった。それでも生地屋も工場もテーラーもみんな仕事がいっぱいで儲かった。」

と同業の先輩からお聞きするとびっくりします。

コルヴォのお客様でも日常使いのスーツ全て数十万のスーツをという方は少ないです。

でも10万円以下のスーツも一押しです。

初めは「社長さんが社員さんにスーツをプレゼントしたい」「成人式用に」とお値打ちなものをとの要望で予算の中で一番良い提案をできたらと試行錯誤いたしました。

まずは生地選びです。

ロロピアーナ、ゼニア、スキャバルなどの一流生地ブランドの高価な生地では予算内に収まりません。

コストパフォーマンスが高い生地ブランドといえばスキャバルの系列のイタリア系ならテシルストローニャ、英国系ならアーサーハリソンズが上げられます。

雑誌などではレダ、カノニコが上げられますが、以前ほど質と共に、徐々に仕入れ値が上がっていますのでコストパフォーマンスという面では疑問です。

次に縫製です。 コルヴォのパーソナルラインは正真正銘の総毛芯、最近多い毛芯を接着芯で固めた物ではなく糸で留められたものです。

糸止めの毛芯は接着芯と違い、雨、汗などの剥離に強く長く形を維持できます。

コルヴォのパーソナルラインはCADシステムといい、既存の型をベースにパソコン上で型紙を製作します。

対応力は手書きの型紙に劣ります。

しかし、体形補正などの基本項目は指示できますので、豊富に型をご用意してますので、9割方の体型はカバーできます。

また、スーツの出来栄えに非常に重要な中間プレス(製作途中に立体的に生地を曲げる工程)も行っているので、そばで見ない限りフルオーダーに近い仕上がりになります。

中間プレスを行うと胸に高さが出て、スタイルが良く見えます。

縫製面でもボタンホールはミシン縫いですが、細い糸を使用し後メス(ボタンホールを作ってから穴をあける)ですので仕上がりは綺麗です。

ミシン縫製ではボタンホールが汚いとか、細かな部分に粗のある工場が多いのですが、コルヴォのパーソナルラインではその心配はご無用です。

パーソナルオーダーはフルオーダーに比べ基本オプションが少ないです。

他店さんではオプション、オプションでいわれていた金額のプラス1万ってことも。

コルヴォではよく注文を受ける、基本的な部分は無料です。

ステッチ、天然のナット釦、本切羽、継台場、キュップラー裏地も無料です。

水牛釦を追加しても2000円です。

2ピース98000円+2000円(本水牛釦)、合計10万でおさまります。

今はスキャバルフェアー中なので、スキャバル生地を使っても98000円です。(正直、安い(笑)!!!)

グローブのお話と、

 今年は暖冬で手袋なしでも外出がさほど苦ではありません。

イタリアではコートに手袋をチーフのように挿すことが多いです。

防寒性の機能以外にファッションアイテムとして取り入れるのもありでしょう。

ちなみに大きく分けて革手袋は内縫い、外縫いのものがあります。

内縫いは外に縫い目が出ないのでドレッシー、スタイリッシュな印象を与えます。

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https://merola.jp/より

内縫いはピッタリ目の物を選ぶことをお勧めします。

内縫いはドレッシーなチェスターコート、濃色系のアルスターコートに好相性です。

外縫いは縫い目が外に出ているもの。

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https://merola.jp/より

野趣的でややカジュアルな印象になります。

外縫いの物は割と色味、素材もシュリンク、牛皮以外にオーストリッチなどバリエーションが豊富です。

外縫いの手袋はスポーティーなポロコート、トレンチコートなどと好相性です。

とくにハンドメイドグローブで有名どころとしては、イタリアのメローラ、イギリスではデンツが上げられます。

私は好んでメローラの手袋を二枚とネクタイを3本所有しています。

冬はグローブ、閑散期の夏場はネクタイを作るという、グローブとネクタイの専門ファクトリーブランド。

東京にしか店舗がないようですが、通販サイトもあり年に一回程度、私も購入しています。

私事ですが銭湯めぐりが趣味なので、グローブが恋しくなるようにもっと寒くなってほしいものです。

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私にとって今年一番残念なニュース。

私のここぞという時の一着をお願いしている、フルハンドメイドの職人さんが今年限りで引退されることを聞きました。

来季は何を作ろうか楽しみにしていたのですが、残念でなりません。

現在、オーダーメイドスーツ業界の職人不足は大きな問題です。

今現役のスーツ職人さんって70代の方がほとんどで高齢化が深刻です。

一番の問題は日本で明治以来培われた技術が途切れてしますことです。

改めて手縫いのスーツの魅力を伝えねばと、思う次第でございます。

高価格帯の商品は、なかなかうまいブランディングがないと厳しいのかと思います。

日本の職人さんの手仕事は海外に負けてないのに謙虚な方がおおいので、もっと脚光を浴びていただきたいと思います。

スーツの名脇役、ボタンのお話

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ボタンはスーツにとって欠かせません。

女性のアクセサリーのように小さくても存在感抜群です。

ボタンが安価なものではスーツまでもチープな印象を与えます。

仕立てのイマイチのスーツでもボタン一つでワンランク上質なものにも見えます。

光沢のあるもの、マットな物ありますが、テーラーでは高級感のある艶のあるものが好まれる傾向にあります。

スーツ、ジャケット用のボタンには様々なボタンがあります。

安定した品質の石油製品の練り釦、自然素材を活かした天然釦、金属製のメタル釦、超高級品としてべっ甲なんてものもございます。

最近では10万を超えるスーツでもプラスチックボタンっていうものも増え、天然釦のスーツは希少性を増しています。

今日紹介するのはスーツ用の高級釦の代名詞は水牛釦です。

これは水牛の角を削りだしたものです。

自然の色味を活かし、天然物で木の年輪のように、模様がどれ一つとしてないのが魅力です。

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色がダークブラウン、茶、ライトブラウンに淡くなるほど希少で高価になります。

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オフホワイトは最も高価な物として市場に出回っていますが、これは水牛の角ではなく、骨を削りだしたものです。

経年変化は割としにくいという特徴があります。

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意外と注目されないのが「ナット釦」。

本水牛釦に次ぐ高級釦とし使われます。

これはエクワドルのタグワ椰子の実が原料となっています。

完熟を通り過ぎ、落下し乾燥し硬化した種子を原料としてます。

この原料となる種子は「象牙色」で乳白色をしています。

染色が容易なため、様々の色味のナット釦が出回っています。

経年変化で濃くなるのを楽しめる釦とされます。

水に弱く色落ちしやすいため、注意が必要とされます。(私個人的には色落ちで不便を感じたことはありません。)

ナット釦は水牛釦より柔らかな印象になりますので、ジャケット、夏用の薄手、淡い色のスーツにオススメです。

ちなみに英国調のスーツとイタリア系のスーツに使うボタンって形が違います。

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イタリア系のスーツ、特に南部イタリアのテーラーはお椀型のボタン好んで使用します。

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(ひっくり返した写真ですがわかりずらいですが、ご了承ください。)

僕の推測ですがお椀型はナポリのスーツに多い重釦にした際に、釦の重なりが綺麗になるからでしょう。

また、このお椀型のボタンは直径がほかのボタンより1㎜小さく、針孔が小さいのが特長です。

針孔が小さい釦はボタン付け専門の工業用ミシンでも取付けることが不可能ですので、手付けの証になります。

英国調のスーツに多いのは平ぺったいお盆状の形です。

アメリカ系はこの真ん中が凹んだものを使います。

私のコート遍歴

高校生時代はコートを着ずに軍手にブレザー姿で学校まで1時間かけ自転車で通学していました。

今思えば、昔の冬の方が寒かったのによく耐えられたなっと思います。

校門に立っている先生に「お前を見ていると寒くなるから早く教室に行け」とよく言われました。

私以外にもそうした強者は何人もいたのですが、最近は代謝が悪くなったのか、専ら、コートなしでの外出が億劫になりました。

反動でしょうか、テラードの中でスーツに次いで好きなアイテムになりました。

割と数多く持っています。

今日、ご紹介するのは、濃紺のピークドラペルのチェスターのカシミヤコート。

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確か、仕立てたのは2014年頃。 定番のコートとして、一着は真面目な形とは思ったのですが「コルヴォはピーク襟押しでしょ」とスタッフに言われピーク襟に。

この当時、「莞爾」「奉文」のオリジナルモデルを売り出し中でしたので、ピーク襟がコルヴォのスタッフの中でブームでした。

「形は普通なら素材はとんでもないものを使おう」と、生地はロロピアーナの最上級のカシミヤ生地で、ヘビ―ウェイトの570g/mあるので防寒性は抜群です。

「繊維の宝石」と言われるようにカシミヤは希少性のみならず、太陽光の元では煌めくような光沢があります。

Xラインのシルエットに巾広めの襟、フォーマルな膝下丈、仕様にこれと言った特徴はありませんが、素材の存在感は抜群です。

ここぞという場、畏まった場、寒い日に使います。

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このコートで鳥取砂丘に行ったことも。(笑)

2年ほど前にパンツ工場の見学のあと、スタッフと一緒に砂丘に行きました。

 

続いてはクリーム色のベビーキャメルのダブルチェスターコート。

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ロロピアーナのコレクション「オーバーコート」に初めて「キャメルヘアー」がラインアップされたときに作りました。

「砂漠は昼は50度、夜は零下20度になるというほど寒暖の差が激しいのでラクダの毛はそうした環境に耐える為に温度調整機能が発達している。」 と説明を受け、この生地を選びました。

この生地は生後半年以内のラクダの一番初めに採取される原毛のみを使用しています。

肌触り真新しい毛布のようにしなやかです。

キャメル生地の特徴はカシミヤ生地に似ていますが、光沢が抑え気味で、フェルト化しにくい(ふわふわ感が持続)のが特徴です。

キャメル生地は吸湿性に優れるといわれています。その効果か、体感的に暑くなるとカシミヤ生地は蒸れるのですが、キャメル生地はそこまで気になりません。

キャメル生地ならば、定番のポロコートにしようか、迷いましたがダブルチェスターコートに。

着丈は身長170の私に115cmというロング丈。 背プリーツと背ベルトを付けました。

作ったのは2015年前後です。良い感じにエイジングされ毛羽立ってきています。

この時期は生地をたっぷり使ったビッグシルエットでロング丈のコートがメゾンブランド中心に提案され今後、流行ると言われ流行の先取りを意識しました。

2015年前後では膝上の着丈90cm前後のものがほとんどでした。

2019年今季の受注は膝下、100cm以上の丈がほとんどでした。

ちなみにインポート物で最近はキャメル生地のコートも出回ってきました。

このコートを着て外出すると、必ずこのコートについて指摘されます。

あと雨の日用にユニクロで防水ステンカラーコートを一着買いました。

プラスチックボタンを水牛ボタンに変更しました。

今の気分はラグジュアリーなコートは揃えたので気軽に使える、ステンカラーコートがマイブームです。

立ち食いそばでも汚れを気にせず、食べれるのがうれしいです。(笑)

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2枚裁ち、3枚裁ち

お客様に納品の際に 「コルヴォのスーツは良い仕立てだね。二枚裁ちだ」 とお褒め頂きました。

「莞爾」「奉文」「チェスターコート」は2枚裁ちです。

この2枚裁ちか3枚裁ちはショップ店員でも知らない方がほとんどで、一般のお客様でご存知ない方がほとんどでしょう。

こんなことをブログにするのはマニアックすぎて気が引けるのですが(苦笑)

僕自身もお客様に指摘されるまで、2枚裁ちであるか3枚裁ちであるかを忘れていました。

スーツの原型がラウンジスーツが生まれた当初は2枚裁ちでした。

この当時はダーツもなくふっくらしたシルエットでした。

20世紀前半まではスーツは誂えの、ハンドメイドがほとんどでした。

ハンドメイドのスーツは生地にアイロンで何度も生地に熱と蒸気を加え、生地の熱可塑性を利用し立体的にしていくものでした。

20世紀後半にはミシンによる大量生産の時代になるにつれて縫製が簡略化されていきます。

アイロンワークは手間がかかる、しかし立体的な仕立てを実現するには?

そこで効率的に立体的なスーツを作るためにはどうした良いかという事が考えられました。

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前身頃、細腹、後身頃の三つのパーツで片身を構成する。

3枚裁ちの型紙

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3枚裁ちの上着

(白線が縫い目、赤線がダーツ)

「細腹」を取るという事です。

「細腹」はもともと主に曲線部が多い女性服に使われていた手法です。

パーツを細分化すると使用できる生地が多くなるという事で、ドイツ軍などの列強の中でも後進的立場の軍服に採用されたと聞いたことがあります。

従来の前身頃、後見頃が2枚裁ち。 前身頃、細腹、後見頃で3枚裁ちのスーツが現在の主流となったのです。

現在では3枚裁ちの方が、立体感が生まれるという事で、アイロンワークと併用しているテイラーがほとんどで、3枚裁ちが仕立ての悪いとは言えません。

しかし2枚裁ちは手間がかかる上に、生地を一着当たり20cm程、多く必要とするので現在はあまり見かけない仕様です。

ちなみに貫通ダーツ(裾までのダーツ)を入れないと、2枚裁ちは胸とお尻に膨らみが出来るので「砂時計型」と言われ、着丈の長くするシルエットになります。

貫禄を持たせたるスタイルは、貴族社会のフィレンツェなどの北部イタリアのスーツに多い仕様です。

3枚裁ちのメリットは尻周りを小さくすることができるという事です。

2枚裁ちで尻周りを小さくするためにコルヴォは貫通ダーツを入れます。

バストは大きく、ウェストはくびれ、お尻はキュッとしたグラマラスなシルエットになるのです。

2019122175834.jpg2枚裁ちの上着

 

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