大阪店
英国調のスーツはフルハンドメイドオーダースーツ
Corvoではイタリア調のスーツをお作りしていますが、英国調のスーツはお受けしていません。
「イタリアのスーツ」がいいから「英国調のスーツ」を作っていないのかといわれればそうではありません。英国調のスーツはイタリア調のスーツよりも工程が多く、Corvoのオーダースーツでは英国調のスーツを忠実に再現できないからです。
「オーダースーツなら型紙をいじれば英国調のスーツができるだろ」と思われるかも知れませんがそうではないんです。
英国調のスーツは堅いです。それを表す堅い毛芯、副資材はお金を払えば調達できます。たいしてイタリア調のスーツに使う芯と値段は変わりません。
イタリア調のスーツでは襟のみなのですが英国調のスーツはハ刺しという工程を身頃にも行います。
ハ刺しというのは糸で芯と生地を留めることを言います。
イタリア調、Corvoのスーツの身頃を触っていただくと三層になっていますが英国調のスーツは芯と表地をくっつけていますので二層になります。(確認しようと引っ張ると中の糸がほつれるのでやめてください。)
ハ刺しを身頃にすることで堅くハリのあるスーツが出来上がります。
この工程はものすごく労力(早い職人で八時間前後と聞いたことも)がかかります。機械で行うこともできるのですが、生地の伸び縮みを考慮して人間の手でしないとどうしても歪みが出ます。
英国調のスーツを作る、テーラーは総じて値段も高いです。それはハ刺しに手間と時間と労力を必要とするからです。
また、本当に英国調のスーツを欲しいのでしたらフルハンドメイドのオーダースーツをお勧めします。
セレクトショップのオーダースーツ
先日は急遽、お休みをいただいて申し訳ございませんでした。ご来店されたお客様には本当にご迷惑をおかけしました。
お客様によく「今までセレクトショップのオーダーサロンを利用していたのですが、(セレクトショップのオーダースーツって)どうなんですか?」とご質問をいただきます。
セレクトショップのスーツと言っても各店舗、価格帯によって縫製も違うのですが十万円以上のハイグレードラインのもについて私個人の印象で語らせていただきます。
現在のセレクトショップのオーダースーツは軽さを追求している印象を受けます。四、五年前までのクラシコイタリアブーム(体感的にブームとして感じなかったのは私だけでしょうか?)の流れを汲んでます。
最近、一般のスーツに少しずつ英国調の流れがスーツにも入ってきているのですが、やはり高価格帯のオーダースーツの主体はイタリア調のような気がいたします。(五年ぐらい前から英国調の流れはくるといわれていましたがここ最近は特に顕著に現れています。)
ちなみにセレクトショップに限らず小物、鞄、靴などは英国物が増えつつあるようには感じます。
セレクトショップでは専属のデザイナーがいるので、よく研究されています。クラシコイタリアを謳っている物は納得してイタリア調だなと頷けるものです。
よく、格安な仕立て屋、スーツ量販店でクラシコイタリアを謳っていても疑問符のつくものが多いです。クラシコイタリアを追求したオーダースーツを仕立てようとすると縫製、毛芯、釦など副資材などにコストが掛かり値段の関係上、致し方がないのかもしれませんが。
セレクトショップでも十万円以下のラインは安価なオーダーショップ、スーツ量販店と縫製に差はないように感じられます。
セレクトショップも芯にこだわりをもっていますね。今までシワが出やすく受け入れられにくかったキャメル芯を使用した柔らかい仕立てを追及する動きも見られます。
ちなみにCorvoでは胸増芯に馬の尻尾を織り込んだ本バス毛芯、土台芯に横糸にキャメルヘアを織り込んだものを使用しています。また、アイロンワークの施されています。このクラスの縫製になるとセレクトショップでは既製で五割り増し、オーダーで倍ぐらいの値段になります。
誤解④
いいスーツやいいシャツは毛玉ができにくいと思っていませんか?
あるお客様が「あそこは十万のオーダースーツなのに毛玉ができた!!」とお怒りなられてCorvoにいらっしゃいました。
毛玉は使用環境、頻度によってでき方に大きな差があるのですが、一般に高級生地にできやすいのです。
毛玉は基本的には細い繊維で織られた生地の場合できやすいです。supper120クラスの原毛を使用した生地なら間違いなく毛玉はできやすいです。シャツも同じで細い繊維の物は毛玉ができやすいです。
織り方なんですが綾織り(斜めに織り目があるもの)や、ヘリングボーン(魚の骨のような模様の物)の物はできやすいです。こちらの織り方は光沢が出やすく、シワに強いです。
夏物はたいていは平織りという織り方で織られているので毛玉はできにくいです。通気性がいいのですが反面、シワに弱く光沢が出にくいです。
腕時計をするためのシャツ
オーダースーツ、オーダーシャツのいいところはサイズ調整が自由なところです。
御存知の方は多いかもしれませんが、一般に腕時計はカフス(袖口)に入らなくてはいけません。当然、オーダーなら右と左でサイズの違う袖周りでお仕立て可能です。
Corvoでは腕時計をする方の袖周りをしない方にたいして一センチ前後大きくしています。厚めの時計をされる方は2センチ程度大きくする場合もあります。
また、カフス周りの上から時計をする方もいらっしゃいます。革ベルトの時計の場合、汚れを防ぐのとカフスのフィット感を大事にしたいからだそうです。
誤解③
オーダースーツ、オーダーシャツ仕立てされるお客様で他店では「サイズはいつも~」などといわれる方がいらっしゃいます。
サイズ表記はあくまでも各ブランドで各自で勝手に決めていますのであまり聞いても意味がありません。(なんかJasかなんかで一応、基準があると聞いたこともありますが、あまり詳しくは知りません。)
また、「いつも、腕が太くてきついので太くして」といわれる方がいますが、Corvoのゲージはセレクトショップや今流行りの細身スーツと違いゆとりがありますので実際着ていただくとぴったりの場合が多いのですが、先入観でスーツの腕周りを広げなくてはと思いオーダーすると脇がぶかぶかのスーツが出来上がります。実際、Corvoのゲージを着ていただくと詰めなくてはならない場合が多いです。
また、なで肩、いかり肩はゲージ服に相対的にどうなのかであって「筋トレしているからなで肩、はと胸なんですよ。」「僕、いかり肩なんですよ」という先入観は捨てていただきたいです。あくまでもゲージ服にたいしての相対的なものですから。
なんだか注文が多いようなんですが、いいスーツを作るためと思いご了承ください。
誤解その②
襟巾が狭いと「シャープに見える」という方が多くいらっしゃいます。
実際に襟巾が狭いと日本人のような顔の大きい体型ですとむしろ顔の大きさが強調されて野暮ったい印象を与えます。(芸能人のように顔が小さければシャープに見えるのですが)
Corvoのスーツはサイズによってのバランスを考え襟巾は違うのですが、基本サイズの46で9.3センチあります。イタリア南部はラテン系民族が多く日本人とよく体型が似てますのでナポリ調の襟巾の広いスーツは日本人に似合います。
また。最近はゴージ(上襟と下襟)のラインが高いので、これは顔が大きな人はより大きく、小さな人はより小さく見せるので、顔が大きい方は襟巾が広い方がいいです。
オーダースーツなので巾は替えることはできるのですができれば、ゲージのままにしていただきたいです。
誤解その①
オーダースーツを作る際、みなさん、よく誤解されていることがあります。スーツを仕立てる際に少しでもお役に立てればとご紹介させていただきます。
パンツの丈についてなんですが、ワンクッション、ハーフクッション、ノンクッションなど好みによって長さにも色々あります。
脚の短い方はよく「脚が長く見えるように長めで」とご注文されますが、実際には逆でより一層、脚が短く見えます。
脚を長く見せたいのならハーフクッションがお勧めです。ハーフクッションは靴の甲にパンツの裾が軽く触れるぐらいの長さです。
ノンクッションは靴の甲に裾が触れず、靴下がほんの少し覗くぐらいの長さです。脚は長くは見えるのですがカジュアルな印象を与えるので個人の印象ではビジネス向きではないと思います。ジャッケトスタイルならありなんですが。(英国調のスーツで裾幅広いものならありなんですが)
最近はパンツの裾はダブルが主流です。ダブルはもともとは英国紳士が結婚式に向かう際、雨に降られ、裾が汚れないように折り返したことが発祥といわれています。なので、ダブルは少し短めのハーフクッションと相性がいいです。
日本人の技術
なんだか、ニュースを見ていると「ものづくり立国」日本の苦境を伝えるものばかりですね。
海外から安価な製品が提供されることで日本製品が負ける。時代の流れとはいえ複雑な気持ちですね。
既製品は現在は海外が既に主流ですがオーダースーツの縫製工場もどんどん海外移転が進み中国、最近ではベトナム、インドに原価を切り捨てるために安い労働力を求め移転が進んでいます。安い労働力を求めるだけならいいのですが製品の品質を下げるようなことをするから困ります。
オーダースーツ屋の店主の戯言と思い読んで頂きたいんですが、スーツって正直、電化製品や自動車とちがい高度な技術を必要としてないんじゃないかと思いませんか?
まぁ、スーツ作りは基本的には縫う、アイロンをかけるの繰り返しです。単純と言えば単純な作業なんですが、実はこの単純な作業をこなすには職人たちの長い修業の熟練された技術がなくてはできません。説明は後日に譲るとしますが。
そうした技術を消費者に伝えきれなかった、伝えることを怠った小売業者(私を含めた)にも現在の日本、「ものづくり立国」の現在の苦境の一因がある気がします。私も小売業に身を置くからにはその責任を、背負わなければならないと常々、考えています。
本来、日本産業には確かな技術があると思います。それを引き出す、リーダーとなる経営者、最前線で働く技術者たち、生産者、それを売り出す(消費者に伝える)小売業が一丸になってこの苦境に立ち向かわなくてはならなくてはならないと思います。
技術、職人のもつ確かな技術は一度失ったら、再び取り戻すにはその技術を培った期間だけの時間を要します。技術とは脈々と職人から職人と受け継がれた伝統です。
伝統とは厄介なもので伝統は常に失われた後に往々にしてその重要性に気付くものですから始末に負えません。
脱臭!汗抜き!
スーツ、ジャケット、パンツが臭くなるのは致し方ありませんね。
人間は汗をかき、体液、垢を出します。ひどい時は汗で潮を吹くことも。パンツならオシッコこぼすことも。(Corvoのお客様の中でも、私自身もたま、本当にたまにこぼします。夏はライトグレーのスーツは危険です。)
せっかくのオーダースーツがシワがよって臭っては台無しです。
一般のスーツをクリーニングにだすとドライクリーニングになると思うですが、人間の汗や臭いのもととなる皮脂はドライクリーニングでは落ちません。今は水洗いするクリーニング屋も多いですが高いです。経済的ではありません。
春、、秋、冬なら多少、臭ってきたら霧吹きで全体を軽く湿らせて一晩干せば臭いは取れます。(シワ予防のためにできれば着用後はこの処理をしていただきたいです。)
夏ならスチームアイロンが効果的です。蒸気をあてながら軽く生地に触れる程度の距離(当てるとテリの原因となります。)を保ちながらアイロンを動かしてください。テレビショッピングのようにシワは劇的には取れませんが一晩経てばだいぶシワはなくなります。全体が湿ったら軽くタオルで叩けば臭いの元となる汗、皮脂も蒸気と一緒に取れます。
また、汗が臭うのはそれを分解する微生物?が原因と言われています。熱でその微生物が死ぬからスチームアイロンはより臭いが取れるとクリーニング屋の方から教わりました。
またネクタイにもこの方法が応用できます。ネクタイもスチームアイロンで同じ方法で脱臭、シワ取りができます。
背広の呼び名の由来(オーダースーツ・シャツ専門店Corvo 代表)
出戻りで大変、恐縮なんですが、またいろいろとブログでスーツ、ジャッケトに関する知識を御披露させていこうと思いますので、またよろしくお願いいたします。
スーツのことを背広って言いますよね。
「背広」って呼ぶようになったかいろいろな説があるんです。一番有名な説はロンドンの高級洋服街「セヴィルロウ」がなまり「セビロ」になり「背広」という当て字を当てられた。
補足としてイギリスの「セヴィルロウ」はスーツ発祥の地です。スーツを語るものは源流がここにあることを忘れてはなりません。イタリア、フランス、アメリカのスーツはすべてここから派生したものなんです。
現在でもイタリア人、日本人の多くの仕立職人、縫製工場の技術者は「セヴィルロウ」に修業、技術取得に行く方も多いです。