大阪店
納期予定日
スーツ、コート、ジャケット、パンツ、ベストご注文から約6週間
エアー取り(イタリア、イギリス本国からの在庫受注分)は約7週間
フルオーダーシャツ
ご注文から約5週間
納期把握につきましては細心の注意を払っておりますが、予期せぬ事情、繁忙、閑散期によって変動いたします。
誠に勝手ながらあくまでも目安としてご理解いただきますようお願い致します。
納期遅延によってご迷惑をおかけしたお客様にはお詫び申し上げます。
今後、納期短縮を最重要経営課題と位置づけ、取り組んでいく所存ですので、何とぞCorvoをよろしくお願い致します。
Corvo代表 谷口
よくある問答
若い方なら高い服を身に付ける、おしゃれな装いをする、これっていわゆる自己満足なのか?などと疑問に思ったことが少なからずあると思います。
よくある問答なので、少し退屈かもしれませんがお付き合いください。
私は以前ブログにも書いた通り、服に無頓着な人間でした。
18,19歳のとき「なんでスーツに十万も出すのか?量販店のスーツで充分だろ!スーツなんて西洋人の服だろ!俺は日本人だ!」っと公言するようなものが、今はスーツ店を経営しているのだから人生とは何があるのかわかりません。(笑)
「いいスーツを買え」とお客様を誘導するようでこの手のブログを書くのを避けてきましたが、今回は私自身勇気を出して書かせていただきます。
「襤褸を纏えど心は錦」は日本人の清らかさを示すいい言葉です。
しかし、かつての武士が殿様に対するさい裃をきた、葬儀の際は白装束など日本もドレスコードについては西洋よりこまかかったかもしれませんね。
スーツを西洋のもと、着こなしを軽んずるのは和服もスーツと同じように合う相手、TPOをおもんじるというのは西洋も日本も違いはないのですから言い訳にはなりませんね。
私自身、スーツを着るようになって十年弱、ようやくスーツを着る意味合いが分かってきたように感じます。
スーツにも相手をもてなす意味合いもあります。
スーツとは西欧の貴族服のモーニングコート、フロックコートなどから派生したものです。
元を辿れば貴族が王様に対するときの服なのです。
だんだんとフロックコート(モーニングコートとも)の丈が短くなり今のスーツの原型、ラウンジスーツ(今のダークスーツに近いもの)というものが生まれ、当時からしたら形は変わっています。
ちなみにラウンジスーツというのは寝間着、パジャマ、スエットに近いもので貴族が女性との食事のあと燕尾服を脱ぎ、ラウンジ(女性と別室の待合室)でくつろぐために作られたものです。
当時の貴族は、現代の合コン終わりの男同士が「あの子とどうだ?」などと語り合うためにラウンジスーツを着ていたのです。
柔も剛も持ち合わせたのがスーツというものなんですね。
その出を辿ればカジュアルでもビジネスでも着用される意味が分かりますね。
「貴族が王様に対するときの服」ということを考えればスーツは相手に敬意を示す重要なツールとなります。
私は服飾評論家の人間がよくいう「あの政治家はスーツはだらしないから政治家、失格だ!」「あの人は着こなしを知っている。グローバルの感覚を持った素晴らしい政治家だ!」というようなとは申しません。
スーツでその人の人なり、仕事の力量が測れるものではありません。
身なりで人を決めつけるのは愚かなことと思います。
しかし、ドレスコードを弁えた出で立ちは少なくとも敬意を相手に示すことはできます。
戦争などで顔を損傷された顔を整形するお医者さんの話で顔を奇麗に整形すると人格が自信を持ったように変化するということ聞きました。
コロンビア大学のマックスウェル・マルツ博士のお話です。
人はセルフイメージを必ず持っているものです。人はそのセルイメージに近づいた結果を出すといわれています。
「俺はこれぐらいの仕事をこなす。」とおもえばその良くも悪くもその仕事量に近づくというのです。
脳科学の世界では「自動成功システム」といい人は自分の持っているイメージに近い成果を出す機能があるといわれています。(脳科学は発展途上の世界なので一概にこれが正しいとは言い切れませんが。)
セルフイメージを高めることは非常に仕事にもプラスなのです。
「人は見た目は9割」などその手の本が一時ブームでしたね。
数年前に書籍などでよく、「見た目のいい人は生涯年収がそうでない人より総じて多い」といわれていたのは統計で示されています。
私は単純に「見た目がいい人」とは顔、スタイルを指すのでは全体のその人の出で立ちだとおもいます。
靴の修理屋さんが全員スーツで接客をするようになったら繁盛店になった。
小奇麗な出で立ちから相手に対する敬意、「おもてなしの心」がお客様を引き付けたいい例だと思います。
弱小サッカー選手団に高級スーツを着せたら急速に成績が良くなった。
相応の格好をすることでセルフイメージを向上し自信が結果につながったいい例だと思います。
フランスのシャツ
新しくシャツ生地のバンチがはいってきました。
トーマスメイソンの最上級ラインのゴールドラインの生地がいつもより多くラインアップされました。
その中に特にお勧めしたいのがフランス綾のパープルとラベンダーの生地です。
紫というのはフランスのシャツに割と多く使われます。
シャツ仕立て価格¥24600‐
ドレスシャツといえばどうしても白、ブルーが多くなってしまいます。
パープルにもチャレンジしていただくためにも「こんな仕立ても如何ですか?」という思いも込めてのブログを書かせていただきます。
シャツにもスーツと同じくイタリア系、ブリティシュ系、アメトラ系などというように国ごとに特色があります。
スーツと同じくシャツもイタリアクラシコブームの流れで非常にタイトなものが増えて、今もその流れが続いています。
その逆を行くのがフランスのシャツです。
アームバンドで袖を調整し、少しぶかっとしたシルエットは大人の色気を醸し出します。
実は「スーツはイタリア、靴は英国、シャツはフランス」というほどフランスのシャツというのは高い評価を受けています。
固定観念的なフランスのシャツのイメージといえば表前立てでポケットがないフロント、太いアームホール、、大きめに取られた後ろ身巾、タックの入ったバックスタイル、生地はフランス綾で光沢があるもの、色味はサックスブルー、パープルなど鮮やかなもの。
この生地にはそんなステレオタイプ的な仕立てをお勧めします。
実際にはフランスのシャツも世界的にタイトなシルエットの流れで腰にダーツが入ったものなどが増えているのが実情です。
スーツ屋もアパレル業界の「売れる・売れない」の「流行、廃り」の市場の中に存在していますが、一本芯の入った仕立てをお勧めしたいですね。
スーツにも同じことが言えますが、光沢のある上質の生地というものはある程度の体と服との間にゆとりがあるとドレープがでて非常にエレガントになります。
ゆとりが大きいのに目付もなく、光沢のない生地ではなんだか、逆に物足りない感じがあります。言葉は悪いですがチープな印象になってしまいます。
トーマスメイソンの最上級ラインのゴールドライン、さらに光沢の強いフランス綾、絶妙な色味、最高の品質の生地だからこそ、敢えてオーバーサイズの仕立てをお勧めすることができるのです。
ジレ
今年はなんだか秋の訪れが早いように感じます。
スーツ店にとってはうれしい限りです。去年の八、九月は残暑の影響でどこのスーツ店も大変でしたが、今年は気温が下がるごとにだんだんと土日は予約が増えています。
英国回帰の影響で今季、今まで以上にベストの人気が出そうです。
最近は単品使いのベストのことを「ジレ」とも言います。
「ジレ」もベストはもともとは同じ意味なのですがジレというとジャケットやパンツとは違う生地でお仕立てしたものを指すことが多いようになっています。
フラノ、サキソニー、ツイード、ホームスパンでお仕立てしたスーツに色の違うベストを合わせるのは割と英国のカントリー調のスーツの方々の中では一般的な着こなし方です。
正直に申しましてビジネス色より、カジュアル色が強いので仕事に使うには職種にもよりけりですのでご注意ください。
いわゆる「カントリースポーツ」に分類される、日本でいう遊び着に近いものがあります。
しかし、普段お召しのスーツをビジネス以外でもお使いの際に洒脱感を引き出してくれるのでお勧めです。
個人的にはクリアカットの表面がつるつるしたものよりは素材感、立体感のあるツイード、ホームスパン、サキソニー、フラノ地が比較的合わせやすい気が致します。
色はグレー、キャメル、柄は千鳥格子、ヘリングボーンの物が合わせやすいと思います。
Corvoの在庫生地の千鳥格子のサキソニー ベスト単品 仕立て価格25000円(税別)
上級者になればグリーンにチェック柄といったものを合わせます。
今のスーツの流行
クラシコイタリア全盛のブームの頃はしきりに「クラシコイタリアのスーツは生地は柔らかく、軽いもの、肩はジャストサイズ、適度な腰の絞り、ナチュラルな風合い、仕立ては軽さを追求している」と雑誌などには紹介されていました。
正直、この説明をうけても「具体的にイタリア調のスーツってどんなものなの?」っとお思いになると思います。
実際には今、旬のラルディーニはイタリアのスーツブランドですが英国調のしっかりとした生地を使い軽い仕立てが多いです。
特に北イタリアは生地も英国製の物で割と英国調の仕立ての影響が強く、ロープドショルダーでかっちりとしたものが多いです。
ステレオタイプ的な北イタリアのスーツのイメージはこんな感じです。
いかにも英国ぽっさとイタリアぽっさが混じっています。
(このスーツの肩はロープドになっていません。)
個人的にはナポリぽい雨降らし袖で重ねボタンより、北イタリアのようなまじめすぎず、遊び過ぎず、適度な抜け感のあるスーツの方が好みです。
なぜかJKスタイルはナポリっぽいものが好みです。
話はそれましたが「現在は英国調のスーツが流行」とメディアで紹介されています。
また、「モダンブリティッシュ」という言葉をよく耳にします。
「現在は過去の重厚なクラシックなブリティッシュ調ではなく現代のテイストに合わせソフトの毛芯、薄いパットを使用したものが旬。」という趣旨の説明が多く見受けられます。
察しのいい方でしたら「北イタリアのスーツとモダンブリティッシュの違いって何?」となると思います。
またハリソンズを除いた一部の生地以外は英国生地と謳いながら基本的には双単でイタリア生地と大差はありません。
スーツ屋の者からすれば、結局のところ英国調回帰という今の流れはキートンなどの南部イタリアのものから北イタリア調に変化しただけに過ぎずイタリアスーツの流れは終わっていない感があります。
カルロ・バルベラ
生地商社の方が当店にやってきて「これ見てください」と生地のカードサンプルを見せてくださいました。
2014AWの提案でカルロバルベラの生地をもってきてくださいました。
数年前、イタリア生地ブームがおこり、その中で知名度を上げた生地ブランドです。
なぜか取り扱う商社さんが相次いで取り扱いをやめてしまい最近は見かけなくなってしまいました。
湿度と温度を一定に保つ、洞窟をくりぬいた倉庫の中で糸を寝かせ糸にかかったテンションを下げてから生地を織るという独自の手法はスーツマニアにとってはあまりに有名です。
「ロロ・ピアーナ」「ゼニア」「ドーメル」とは違い知名度は断然下がりますが、質の面では高い評価を受けています。
なぜに商社さんが卸をやめてしまったのか不思議でなりません。
商社さんの言い訳は「ゼニアなどに比べて知名度の点で売りにくい」と皆さん言います。
「これは売れる!!」と先買いしたら安くしてくださるとの提案を受け、私も巡り合わせが嬉しくって現物で仕入れることを即決してしまいました。
商社さんにうまく乗せられた感もありますが(笑)
これは、バルベラフェアーをやらねばと只今、企画中です。
トレーニョ
新作の生地が続々と入荷しております。
ユーロ高、円安の影響で生地自体の価格がだいぶ上がっています。
インポート生地の中で比較的安価でお求め易かったカノニコもいまや高級素材となってしまいました。
私が南本町でスーツ店を始めた時はカノニコでも2P、68000円でお仕立ていただけたのですが今は98000円からという高騰ぶりです。
私がファイブワン大阪店にやってきた時も88000円でしたから、昔みたいに「カノニコはコストパフォーマンスに優れている」とはすこし申し上げにくいです。
そんな環境の中でもお求め易い生地をご紹介いたします。
今回紹介させていただくのは「トレーニョ」です。
「トレーニョ」はロロ・ピアーナ社がデザイナーブランド向けに設立した生地メーカーです。
個人的にはロロ・ピアーナの現物生地のもをのぞいては一番コストパフォーマンスがいいと思っています。
あまり、オーダースーツ店では取扱が多いわけではないのでマイナーなブランドではあります。
アルマーニ、ヴェルサーチ・ドルチェ & ガッバーナなどに生地を卸しているので名前を知らなくてもトレーニョの生地のスーツをお持ちの方は多いかもしれません。
しかし生産高は多く三大紡績メーカーといわれるぐらい世界的知名度はあります。
生地の特徴としては光沢があり、比較的打ち込みがよいものが多くバランスに優れたものが多いです。
またデザイナーズブランド向けの生地メーカーであるといこともあり洗練された柄、色使いが多いのも特徴です。
二十代から三十代の方が好まれるようなものが多いのも特徴です。
2p仕立て上がり¥88000(税別)
仕立てを変える。
仕立て屋のなかでは常識なのですが、生地の特性を考えサイズや仕立てを変えます。
イタリア生地、特にトレーニョ、ロロピアーナのようにしなやかで光沢のある生地というのは動くたびにできる皺の光の動き(ドレープ性)を生かすために少しゆとりを通常より入れます。
ゆとりを大きくすると「ダボッとしないのか」と思う方もいるかもしれませんが、ドレープ性があるので非常にドレッシーになります。
夏用の芯なしジャケットでは湿気を吸って縫い目を中心に生地に凹凸が出るので接着芯を張ったりします。接着芯は生地の風合いを若干固くするためにお客様と相談の上、貼るか決めさせていただいております。
英国生地、ハリソンズなどのように固い生地は胸のホールド感を出すためにタイトにします。
ちなみに私の経験から英国生地の平織りのものはタイトにすると裂けるように破れてしまうことがあるので、私はバストにゆとりは少しにしてお尻周りは大きめに取ります。
似合う、似合わない
スーツを選ぶ際に似合う、似合わないをほとんどの方は意識される方と思います。
スーツ地なら紺、グレー、黒を基本に濃淡はあれども、無地、ストライプ、チェックなど柄についても選択肢は広くありません。
一般に言われる細身の方に似合うスーツ地というのは淡い色味で英国生地のようにかっちりしたもの、ストライプは間隔のせまいもの、チェックなら格子は小さいものといわれています。
また一般に恰幅のいい方に似合うものといえば濃い色味でイタリア生地のような光沢がありしなやかなもの、スライプなら間隔が広いもの、チェックなら格子の広いものといわれています。
私は体重が100kgを超えていますが平気でベージュのスーツや、ライトグレーのスーツを着ます。
白い麻のスーツを恰幅のいい方がご注文されたものでしたがより貫禄がでて雰囲気がでていました。
また、元英国首相チャーチルはチョークストライプの重いフランネル生地を着た写真が有名です。
(対独戦時のプロパガンダ写真、このとき着用されているスーツはヘンリープール社製)
マシンガンを持った、大変物騒な写真ではありますが、すごくお似合いですね。
結局のところ似合う、似合わないは合わせ方、着る方の気持ちの問題と思います。