大阪店
通好み!
どの業界でも知名度はないけれど、目の肥えた方から好まれる、通好みブランドってありますよね。
Corvoもオーダースーツ業界でいえば通好みの店と言えるかもしれません。
今日は通好みの生地を紹介します。(ロロ・ピアーナは十分紹介させていただいたので省きます。)
通好みの生地といえばハリソンズ・オブ・エジンバラは一癖あって通好みと言えるかもしれません。
ハリソンズは英国らしい英国生地を得意としています。
現在、生産されている生地の95%前後はイタリア生地などにみられる柔らかい風合いの出る双糸、単糸織なのですがハリソンズは固い風合いの、耐久性に優れた双糸、双糸織りにこだわっています。
また、特に冬物は打ち込みのいい生地が多く、肉厚で、ハリのあることから仕立て栄えするため、英国のセヴィルロウの老舗テーラーをはじめとする仕立屋には必ずと言っていいほど取扱いがあります。
ちなみに仕立屋が英国生地を好むのには理由があります。
ロロ・ピアーナの「タスマニア」などのような柔らかく相対的に肉の薄い生地は縫ったときに、針の圧力で凹凸みが出易く縫いにくいのですが、英国生地は縫いやすいので好まれる傾向にあります。また、仕立てた際に生地に重みがあるため、体に沿い、シワになりにくいという特徴もあります。
(英国生地の方が仕立ての腕の粗が隠せるという言い方もできます。しかし、私のブログで英国生地しか扱ってないテーラーに腕がないとか誤解しないでいただきたいです。生地の風合い、耐久性から英国生地にこだわっているテーラーさんは数多くあります。)
ハリソンズは英国生地の伝統を今なお受け継いだ珍しい生地ブランドと言えます。
数年前から久しく生地の流行は質感はイタリア、柄は英国生地と言われています。生地自体はイタリア生地のような柔らかなものではあるが柄は英国生地のようなはっきりとしたペンでなぞったようなものが大半を占めています。
この流れからイタリア生地は英国調の柄に近づき、英国生地は柔らかく目付の軽いイタリア生地の風合いに近づいていきました。
その逆流のなかで伝統を守って英国生地を供給するハリソンズは英国生地好きの方から根強い人気をもっています。
明日は、ハリソンズのコレクションを紹介します。
腕時計(スーツとの合わせ方)
腕時計(スーツに合わせる)を選ぶ際は通常、革ベルトかブレスレット(金属ベルト)かになります。
通常、スーツに合わせる場合は革ベルトがよいとされます。高級な時計になればクロコ、アリゲーターなどの爬虫類の革ベルトになる傾向があります。
しかし、夏など汗をかく場合は洗うことが可能なものが使われる場合が多い傾向にあります。
現在ではどちらでもいいとされていますが、フォーマルな席では黒の革ベルトが無難とされています。
革ベルトも本革で安くて5000円程度、高くて10000円ほどですので消耗品と割り切って汚れてきたら買い替えることをおすすめします。
また革ベルトは革靴、ベルト、財布、鞄、あらゆる革の製品は色を統一することが望ましいとされますが現実的には難しいので形骸化しています。最低限、時計のベルトと革靴、ベルトは統一した方がきれいに色目がまとまります。
もともとはシャツのカフス廻りは時計の装着の有無で寸法を変えます。時計のする方の腕を薄い時計でしたら2cm程度、厚めの時計でしたら3cm~4cmはプラスします。
それはカフスの中に時計が収まるようにするためです。本来は腕時計は時間を見る際に袖を軽く引っ張り文字盤を見るものでした。現在はカフスの上に巻き付ける方もいてそこは好み次第となります。
生地の品質
多くのスーツに関するブログにどこ生地ブランドの生地がいいなど論じられています。
私も含め、スーツ業界の人間の批評は売れるからといってあえて生地ブランドの力にすがり、売りたい商品を押す場合が多々あるので鵜呑みにはできません。
生地というのは原毛の質、発色加工、仕上げの良し悪し、目付など様々の要素に加え、色味、柄などの判断材料があり一律に良し悪しを判断することは難しいです。
あえて比べてみるとするならば、デザイン性、機能性は置いてウール100%素材の生地として、各ブランドの代表作でもあり、同等価格という面から一般に対比されるものを比べてみます。
ロロ・ピアーナの「タスマニア」、ゼニアの「トロフェオ」、ドーメルの「iconik」、ハリソンズの「ファインクラシック、」ドラッパーの「ブルゾン」、タリアのスーパー150の物が挙げられます。
このなかでイタリア生地ではロロ・ピアーナが品質のみを考えれば一番いいというのはよほどのへそ曲がり以外で業界内の人間で異論を唱える者はないと思います。
ロロ・ピアーナはトップレンジの原毛の買い付け量が世界最大でスケールメリットがあるのでコストパフォーマンスは自ずと高くなります。
個人的な主観を挟めばタリアは同列1位と思います。最近、タリアは日本での商社の取り扱いが減って日本では知名度は劣るのですがいい生地ブランドですのでさみしい気がしています
Corvoも主力商品を決める際はロロ・ピアーナかタリアに悩んだものです。
商売として成立させようとした場合、供給面と知名度を考慮しロロ・ピアーナを最終的に選びました。来季から少数ながら仕入ようかなと検討中であります。
英国生地は正直テイストがあまりに違い比べるのは難しいです。
英国メーカーのチャールズクレイトンは双糸、単糸織りで軽く柔らかで比較的にイタリア生地に近いテイストです。イタリア生地と比較してもロロ・ピアーナに劣らぬ質です。価格は日本の商社を通すので少々高いのですがそれでもコストパフォーマンスはいいです。
仕上げの加工に紙で生地を挟み電気を通し光沢を出すという特殊な加工をしているといわれています。
ちなみにチャールズクレイトンも日本での取り扱いが減っています。
ハリソンは固く重い双糸、双糸の生地を得意としていて好みが分かれるところです。
ハリソンは独自路線で双糸、双糸のクラシックな生地を得意としており他の競合がいないといったところです。生地にハリがあり仕立て栄えするので老舗テーラーは好む傾向にあります。
ちなみに英国らしい生地では比較的テイストの似た日本産の生地に軍配が上がるといわれています。
しかし国産生地はデザイン性に劣るため、ほとんどの高級スーツ店で取り扱いがないのが現状です。
ちなみにドーメルの生地を織っているの日本企業が立ち上げた御幸資本のはミノバ社といわれています。現在はドーメルと共同出資という形と聞いています。
余談
先日、オープン当初からDMの印刷をおねがいしてる業者の方とお話をしていて「ロロ・ピアーナってそんなにいいの?」と聞かれやはりロロ・ピアーナはスーツ業界では有名かもしれないですがそれ以外の知名度は低いようです。(笑)
私が起業当初から「いずれはロロ・ピアーナを主力商品にしたい」との思いがあり、思い入れの深いブランドでもあります。ちなみに現在はお客様がご購入のスーツの8割はロロ・ピアーナの生地です。
スーツ好きの方ならイタリア生地ならロロ・ピアーナが一番いいとはご存知かと思いますが、改めて、ロロ・ピアーナについて、ロロ・ピアーナを育てたイタリアブランドを取り巻く環境を紹介させていただきます。
ロロ・ピアーナは仏LVMHモエへネシー・ルイヴィトンに買収される際、創始者親族を経営の中心におくことが条件だったそうです。
イタリアブランドは一族経営のことが多く、銀行からの借り入れ能力が低く、仏国、英国、米国などのブランドに比べ小規模展開のことが多いです。
一族経営が世界規模の展開を遅らせた点があるのは否めないです。この一族経営が消費者に単純に媚びないイタリアブランドの徹底した品質の追求、独自のテイストを守ってきた側面があることは特筆すべき点です。
ロロ・ピアーナも一族経営らしいこだわりの強いブランドであり、1924年、ロロ・ピアーナはテキスタイルとしてロロ・ピアーナは創業しました。それ以来、最高級テキスタイルとしての地位を確立しました。
オーストラリアで生産される高級原毛といわれるsuper100以上の原毛の30~40%を買い付けるといわれています。
また、知名度や規模、ファイナンス力が低くても実力派のブランドが多いのもイタリアブランドの魅力です。
イタリアは地形的にフランスなどの高級ブランドの下請け工場として機能していた経緯もあり、第二次世界大戦後に興ったものが多いのが特徴です。ですので製品の品質についても他のラグジュアリーブランドに比して高いことが多いのです。
こうした魅力、発展の可能性があるイタリアブランドはよく外資、ファンドの買収の対象になる要因でもあります。
ロロ・ピアーナは海外展開に遅れたという以外、イタリアブランドの多くの特徴をもっています。
ナチュラルクリーン
先週、千葉県のナチュラルクリーンの工場に行ってまいりました。ようやく、夏前にクリーニングの受付の目処がたちました。
6月初旬には受付を開始致します。正確なお日にちはネット上におって掲載します。
ナチュラルクリーン(NC)さんは高級クリーニングとして業界では定評があります。特にウール繊維被服のウォータークリーニングに関してクリーニング業界では先駆的な役割を果たしたことで有名です。
伊勢丹などの百貨店でクリーニングの受付を行っていてスーツ好きの方でしたらご存知だと思います。
工場内には洗濯待ちの高級スーツが所せましと並んでいました。キートン、ブリオー二、ダンヒル、ドルチェなど数十万は下らないスーツがずらり。
工場内を見学させていただいたのですが、ナチュラルクリーンはプレス技術がすごいと驚嘆してしまいました。
ウォータークリーニングをするとスーツはシワシワになります。それを乾燥させて、高級スーツには必ずと言って入っている「いせ」を考慮しながらアイロンプレスをしていく過程が高級スーツの工場並みに手間暇をかけています。いうなれば工場で出荷前のアイロン整形をもう一度ほどこしているものです。
工場の代表のお話ではテーラーから研修などでプレス技術に対する研究には余念がないとのこと。
私も着ていたスーツのジャケットを洗っていただいたのですが新品に戻った感覚でした。
代表の中田さん(ナチュラルクリーンHPより)
写真では怖そうですが、気さくな方でした。(笑)
技術的なことのお話、研修等、お世話になりました。
Corvoのスーツはいせがおおいので通常のクリーニングでは立体感が損なわれぺったんこになってしまいます。NCさんにはお客様の大切なスーツを安心してお願いできると改めて思いました。
Corvoでは顧客重視の経営方針のもと、メンテナンスにも力を入れていきます。
仕立てのいいスーツか見分ける方法。
このスーツは仕立てがいいのか悪いのか気になりますよね。
店員さんに聞けばよほど正直な方ではないと「自店のスーツはいい仕立てですよ」と答えるはずです
仕立てのいいスーツか、悪いスーツかは我々業者なら伝票の工賃を見ればすぐに分かります。
大体の品質は工賃に比例します。(あとはその販売店の販売数、工場の関係性に応じ多少は値引きはありますが。)
工賃は工場と我々、販売店は需用の供給のバランスで大体の品質は一致します。
しかし販売価格はブランド、スーツ店によって様々です。なんと格安店の工賃と高級ブランドのスーツの工賃がほぼ同じということも。
お客様はいいスーツを見分けたいと思ってもなかなか難しいと思います。
スーツは年に10着も買うというお客様は稀だと思われます。すなわち少ない経験の中で感覚で、ましてや自分のサイズに仕立てられて内サンプルのスーツでは良し悪しを吟味するのは不可能です。
スーツの仕立てを見るポイントは様々です。
たとえば肩の部分に手を突っ込んでみてその収まりをみる。スーツをテーブルに寝かせ、胸の部分に生地のたるみがあるものは胸に高さがある。見返しの裏に生地のあまりがあるのはラペル返りがきれいだ。袖の左右が前に振れているものは後付けで袖をつけている。毛芯ははいいているのか。袖のいせは。etc
複雑で分かりにくいと思います。
ましてや、初めての店でこれだけのチェックをするのは店員さんの目も気になりますね。(笑)
一番簡単なのはボタンホールのつくりとステッチを見ることです。
※「一事が万事」的な方法ですので絶対とは言い切れないのでご了承ください。
ボタンホールが開かずに糸が細いものを使っているスーツは大概仕立てはいいです。
細い糸を使うというのは大変に時間がかかります。また開きがないというのはボタンホールを造ってから穴をあけるのでこれも時間がかかります。
安価な工賃では生産性の関係から時間はかけられません。
あえてこの目立たない場所に手を込ませるのはその仕立ての良さを判断していいでしょう。
ステッチは通常のスーツですとコバステッチといい、端に沿うようにして入れられます。端から2mm以内のものは技術を要し、概ね技術、仕立ての良さに定評のある工場でしかなされません。
ノータイに合う襟型
最近は5月からクールビズ期間となる会社が増えているそうです。
何かとこの時期になるとクールビズの可否を問う論評が情報媒体など賑わうようなりますね。
またクールビズの影響でシャツの夏季の売上は年を重ねるごとによくなっています。
クールビズの影響でノータイでも様になるボタンダウンの人気も出ていますが、BD(ボタンダウン)以外の襟型も紹介します。
紹介の前にノータイでも様になるシャツの条件として。まず襟の開きが大きく、襟の長さが長いものが比較的合いやすいです。
なかでも開襟シャツというネクタイの着用をはじめから前提としないものもあります。
多くのスーツ店ではあまり出ることがないものですから、いわないとでてこないものです。希望される際は店員さんにいえば型はシャツ工場がもっていますので大体は出てきます。
太平洋戦争中に国民服が採用され軍服と民間人の衣服がほぼ同じ仕様になり、軍民問わず、夏季にはは写真のような開襟シャツが着られていました。
戦後も1970年代までは割と目にした襟型です。
欧米ではオープンカラーシャツと割とJKスタイルにはよく合わせらるシャツではありますが、日本では少し古いという印象があるかも知れませんが、最近は徐々に人気をがでてきつつあります。
また開襟シャツの一種のイタリアンカラーというものもあります。
(出典http://www.e-yamaki.co.jp)
ワンピースカラーといい台襟のない襟型です。
この襟の特徴は第一ボタンからできるロールの美しさから開襟シャツのなかでは人気の高い襟です。
思うところ
昔からのお得意のお客様に「谷口さん、最近ブログの更新してないでしょ!」と怒られてしましました。
いいわけながら最近、フェアーを多数企画しており大忙しです。
思えば私、ひとりで南本町で開業したてのころはお客様になかなか来てもらえず、苦労したのを思い出します。
年間の売上高は現在の十分の一ぐらいで取引先の条件は極めて悪く、「他店に対抗するために価格転嫁せずにお客様を増やし取引条件を改善し収益構造に持っていく」を念頭に置きようやく今になって実現できた気がします。
業界の先輩、取引先の方から「スーツ屋は顧客商売だよ」という言葉をかけられました。今になっても常にそれを思いながら経営にあったております。
Corvoの取引高の面でいえば「ロロ・ピアーナ」は西日本トップクラスです。すでに老舗テーラー、大手セレクトショップさんを抜いています。ですの価格の面でも極めて優位に立っていますので他店さんに比べ3割から5割ほど、ブランドショップに比しては数分の一程度の価格でくご提供できます。
思えば、ロロピアーナの現物生地一括仕入れは在庫リスクから相談した業界先輩方から大反対を受けましたが、終わってみれば大好評でお客様には感謝しております。毎年の定例フェアーとしての企画を行うことが社にでも決定いたしました。
実はドーメルフェアーを5月1日から開催予定をしており、ドーメルジャパンとしては初の試みの先行受注型のフェアーを行います。
「現物では多様性が制限されるのでドーメルのデザイン重視の生地ではお客様の嗜好が分かれるから選択肢は絶対に残したい」との考えで私が強硬に主張しました。ドーメルの営業担当者からは前例がないと交渉には苦労しました。(笑)
最終的にはドーメル本国から許可がおり感謝しています。
これも顧客を多く抱えるCorvoだからなせたと自負しています。それもお客様のお陰ということです。(笑)
わがままをしてしまったからにはドーメル社のためにも今期中には取引高、西日本一を狙っています。
ひとえにお客様に支えられた取引高を、利益をため込むのではなく、品質向上に努め、さらにi魅力的な価格で商品を提供し企業はより強くなるという好循環がCorvoにも起こってきたと実感しております。
前述のお客様との会話の中で「お客様はご本尊、顔を拝ませていただけるだけでありがたい」という話をさせていただきました。お客様は神様とはよくいったものです。
ドーメル ICONIK
ドーメル社のアイコンとなるべく今季、新作として発表された「iconik」。
各オーダースーツ店のブログなどに紹介されていますね。スーツ好きの方ならもうチェック済みでしょうか。
言うまでもなくiconikはドーメルを代表してきた「アマデウス365」の後継となるべく新たに開発されたコレクションです。
私個人の印象といえばドーメル社といえばどちらかといえばデザイン重視の印象がありましたが、今までのドーメルのコレクションから「iconik」は品質の面でも大きく向上しています。
オーストラリア産のスーパー120を使用し、細番手の糸で生地を織りあげています。
ドーメル独特の光沢は若干抑えられていますね。アマデウス365では光沢が強すぎるという声もあり、光沢を若干落としたとか。でもさすがドーメルといった、他の生地ブランドにと比べ強い光沢があります。
ナチュラルストレッチ加工によって細身のパンツでも快適に着用できます。生地を斜め方向に引っ張るとよく伸びます。
私の印象としては「ロロ・ピアーナ」のようなドレープを楽しむのではなく細みのシルエットでトレンドを意識した仕立てに合いそうです。
最後にドーメル社から頂いたコレクションの画像を