ホーム>コルヴォ名古屋・大阪ブログ>大阪店

大阪店

スーツの腕まわり

屋号変更でばたばたし、ブログの更新がおろそかになってしまいました。
 
今までの変更点としてスーツの腕まわりについて書きます。
 
スーツは腕まわりの動きやすさ、すなわちアームホールの構造が重要となります。
 
最近は細身のシルエットのスーツが主流でしたのでカマが浅いアームホールのものが多かったです。
 
アームホールはそら豆型がいいとされます。そら豆がといいますと底が平らで軽く三角形になったものを指します。
 
形以外に動きをよくするのは後付および手で袖付けを行うことです。
 
今市場で出回っているスーツのほとんどは生産効率のため袖を後付せずに袖から縫い上げますのでハンガーにつるしたとき右と左の袖が別々の方向を向きます。
 
後付されたものは軽く、袖が前に出ます。これは一目瞭然です。
 
量産型のスーツ、並びに安価なオーダースーツと高級スーツの違いは手間の差につきます。生産性のいいものはそれだけ手間がかかっていない分、安価になります。
 
後付されるスーツは通常、売価10万を超えます。
 
Corvoでさらにそれを手付で行っています。
 
手付のメリットは生地の性質を加味しながら縫い上げます。
 
ですので微妙な腕まわりの動かしたときに力の入った時の加減を加味しながら縫い上げますので動きやすくなります。
 
ネクタイのうらっかわの縫目も不均一に縫われていますよね。ネクタイを引っ張ると不均一な縫い目のおかげ生地にかかる力が分散されでまっすぐにピンとすはずです。それと同じ原理です。
 
余談ですがある有名なネクタイファクトリーは内職の主婦にあえてネクタイを縫わせているそうです。
 
熟練の職人さんが手縫いで縫ったものはミシンで縫ったもの同じように均一になってしまうです。ですのであえて内職で作らせるそうです。奥が深いですね。


201511616109.jpg

グレーのオーダースーツ

 ビジネススーツとなると濃紺のものが日本では一般的かつ無難ですね。
 
 ライトグレーのスーツは増えてはきていますが、濃紺に比べると多くはありませんね。
 
 グレーのスーツは欧米では「エスタブリッシュ」と言う方もいます。非常に一般的なもの時代に左右されない正統なものでもあります。
 
 ライトグレーのスーツはその生地の色合い、質感で大きく印象を変えます。繊細でありながらそのドレッシーかつモード色の強い、あの印象は魅力的ですね。
 
 ライトグレーのスーツが日本のビジネスマンに敬遠される理由は、着こなし、コーディネートの難しさにあります。
 
 お客様がよく言われるのはライトグレーの似合った人をあまり見たことがない。
 
 薄い色のスーツを着た場合、日本人は西洋人に比べ目の色も黒く、髪も眉も黒いので顔がはっきりと出ます。髪が白い方は別として、例えば首相の小泉さんはライトグレーのスーツがよくお似合いでしたね。
 
 「じゃあ、やっぱり日本人はライトグレーは似合わないのか」と言われればそうではありません。シャツ、ネクタイなどを濃い目の色を持ってくれば顔だけがはっきりと浮かび上がることはなくなります。
 
 うまく着こなせばエレガントなグレーのオーダースーツは是非、クローゼットに一着は欲しいですね。

イタリアっぽさをアイテムで演出

 お客様にイタリア調のオーダースーツを売る立場の人間がこんなことを言っては根も葉もありませんが型紙や生地や縫製だけではイタリアっぽさは演出できません。
 
 スーツの型や縫製より、より明確にイタリア、ブリティッシュスタイルを演出するの組み合わせ、コーディネートです。
 
 まず、イタリアとイギリスのスーツスタイルの違いはVゾーンに現れます。
 
 基本的にはイギリススタイルの場合は色鮮やかなネクタイに柄シャツのような主張したVゾーンを演出します。また、イギリス人は柄シャツの襟と袖を白くあしらったクレリックシャツをよく着ます。
 
 逆にイタリアの場合は無地のネクタイ(ソリッドタイ)に白、淡いブルーの無地のシャツを合わせ、抑え目のVゾーンを演出します。
 
 しかし、ブリオーニはイタリアを代表する最高級ブランドですが、派手目のネクタイを提案しています。あくまでも傾向として捉えてください。
 
 また、チーフもイタリアっぽさ演出するポイントです。
 
 イギリス人は淵を合わせ几帳面に折り、控えめに胸ポケットに挿し込みます。
 
 イタリア人は大胆にくしゃくしゃにして無造作に突っ込みます。まずイギリス人はそんなことはしません。(笑)当然、覗かせる分量も多めに。また、たとえ淵を合わせて折ったとしても微妙にずらしたりして崩します。
 
 雑誌を見ていると大方、私が書いたようにイタリア調、ブリティッシュ調を演出していますね。
 
 しかし、あくまでも傾向は傾向です。あまりにもこれに固執しすぎると戦前の外国人が日本人はメガネを掛け、出っ歯のようなステレオタイプのような見方になってしまいファッションの楽しみを損ないかねません。

耐久性は絶対条件か?

 生地を選ばれるとき耐久性を気にされる方がいます。
 
 たしかに生地の耐久性は営業の方、通勤ですれる頻度の高い方には必要条件ですが、ファッションという観点ではあまりにもこだわりすぎるの如何なものです。
 
 耐久性の一点で考えれば繊維の中ではウールは強い方ですが、化学繊維には勝てません。ウールは天然素材で経年劣化します。また毛ですのですれれば毛玉ができます。
 
 ましてや高級インポート生地に使用されている細い原毛ではより一層、毛玉もできやすいです。
 
 イタリア生地なんて耐久性の観点でいえばお世辞にもあるとは言えません。
 
 それなのに遥かに耐久性に優れたポリエステルの生地よりもウールの細い繊維の細番手の生地が高値で取引されているのはウールの持つ軽やかさ、自然な風合いの方が高く評価されている証拠でしょう。
 
 靴を選ぶ際もマッケイかグッドイヤーか言われます。また、グッドイヤーは底の張り替えが何度もでき耐久性がマッケイよりあるとされています。
 
 しかし、製法上の理由からグッドイヤーは重く堅牢な靴になりがちです。反対にマッケイは柔らかく足に馴染みがよく軽いという傾向があります。
 
 どちらにも長所と短所があり、一概にどちらの方がいいとはいえません。
 
 耐久性があって長く使えるのは経済的にも重要な要素ですがファションとしてそれのみに拘りすぎるとファッションの選択肢の幅を狭めてしまいますね。


201511616558.jpg
 

コットンスーツ

 アメリカ人は映画やドラマを見ていてもコットンスーツを着た人が多く出演しますね。いわばアメリカのスーツの象徴のようなものですね。
 
 
 
201511616444.png
 
(プリズンブレイクの写真から)
 
 写真のスーツはいかにもアメリカ調ですね。ベージュのコットンスーツにミシンステッチ、レジメンタルタイとは反対向きの縞模様のストライプタイですね。夏のスーツと言えばコットンスーツはオーセンティックなアイビースタイルですね。
 
 しかし、イタリア人も良く愛用します。イタリア人は第二次世界大戦後の進駐軍の影響で、かつて下請工場として立場であったことからアイビーズタイルをよく取り入れますね。
 
 コットンスーツの魅力はシワ感でしょう。ウールのように深みのある色ではないのですが絵具のような色合いはその特徴を引き立てます。
 
 また、上下別々に使ってもいいのがコットンスーツのいいところですね。
 
 Corvoでもコットン生地を少数ではありますがご用意しています。ぜひオーダースーツでご注文ください。
 
 日本では濃色でなければビジネススーツとしてはコットンスーツは使いにくいかもしれませんね。でも淡い色のスーツの色鮮やかさは魅力的ですね。職場にもちょっとした遊び心があっても面白いかもしれませんね。
 

オーダースーツとブローグの靴③

 オーダースーツに対してどんな靴が似合うかを提案してきましたが今回のは今後、ブレイクすると勝手に僕が思っているものです。
 
 
 
201511616238.png
 
(ジョンロブのホームページからセミブローグの靴)
 
 
 
20151161631.png
 
 
 
 ブローグとは画像のように穴飾りのことを指します。もとはカントリー用、登山靴に施されたものとも言われています。現在ではビジネス、カジュアルの様々な靴に施されています。
 
 イギリスの靴によくみられるディテールで昨今のブリティッシュの流れを汲み今後、流行すると思っています。
 
 また、アメトラの靴では外羽根のブローグの施された靴は多いですね。五十代の方ならこの靴とは比較的なじみ深いと思います。丸っこい靴に施されることが多く、その形から「おかめ靴」とも昔は呼んでいました。
 
 イタリアの靴のような軽やかさはなく重厚感、見た目の厳つさが魅力の靴です。
 
 初見はその派手な穴飾りで好き嫌いは大きく分かれますが、エレガントな足元を演出し、ジャケパンとも良くい合い、使い回しも利きます。太めのジーンズに合わせても相性がいいです。
 
 その重量感、故に細身のパンツより少し太めのパンツの方が相性がいいです。
 
 最近のオーダースーツもパンツは太くなりつつあるのはこうしたブリティッシュ調の靴の影響でしょう。

オーダースーツとストレートチップの靴②

 オーダースーツに合わせる靴でフォーマルなものはストレートチップです。
 
 
 
201511616017.png
 
(ストレートチップで内羽根の靴・今井宏樹氏作)
 
 つま先に一文字に真っ直ぐにはいったステッチをストレートチップといいます。
 
 現在は冠婚葬祭、フォーマルな席でこの内羽根式のストレートチップの靴なら通用します。(燕尾服の際はエナメルのパンプスにすべきとも言いますが、こちらで代用も可能とされる場合もあります。)当然、ビジネスシーンにも最適です。しかし、ジャパンのようなカジュアルシーンには向きません。
 
 そういった意味では白のシャツと同じように何にでも合わせられる優れモノです。オーダースーツでいえば濃紺のスーツとでもいうものでしょうか?(笑)
 
 ストレートチップは色々な形の靴に施されます。モンクストラップのものにも。
 
 
 
20151161610.png
 
(ストレートチップのダブルモンク)
 
 モンクストラップになるとカジュアルな印象になるの国賓など迎えたような厳格なフォーマルな席には向きませんが冠婚葬祭などの席では許されるようです。葬儀の際は金属の金具は不適切とされることもあります。最近は服装よりも死者を悼む気持ちを重んじられそこまでルールに拘ることもなくなりつつあるようです。
 
 つま先に蝋と水を垂らしなんども磨き上げる人もいます。これを「鏡面磨き」とも言います。イギリス人はよく丁寧に磨き上げられた黒のストレートチップの靴を好みます。
 
 ともあれ、ストレートチップは万能選手で一足は持っていたい靴ですね。

オーダースーツとスエードの靴①

 せっかくオーダースーツを作られるのなら靴にもこだわりたいですよね。
 
 
 
2015116155749.png
 
(シングルモンクのスエード)
 
 
 
 靴はオーダースーツ、シャツに劣らず重要なアイテムです。
 
 以外に使い回しの利く靴があります。それはスエードの靴です。
 
 日本人はなぜかスエードの靴を秋冬ものとして春夏には敬遠しがちですね。世界的に見てスエードは秋冬に限らず通年で使い回せるアイテムとして認知されています。
 
 ビジネス使いには避けた方がいいと言われる場合もあります。確かに表革の靴よりはカジュアルの印象を与えますがルール上はビジネスシーン、スーツに合わせても大丈夫です。銀行員の方などのお堅い職業の方は避けられた方が無難かもしれません。
 
 その柔らかな印象は少し遊び心をスーツスタイルに持たせたいとき、ジャケパンとの相性は最高です。
 
 スエードの良さは手入れの簡単さもあります。ブラシで時折毛並みを揃えてやるだけでいいんです。梅雨時のような雨降りの時には大変便利です。表側の靴のように靴磨きの手間もほとんどありません。
 
 また、写真の靴の形は「シングルモンク」といいます。シングルとはバックル(甲を抑えるベルト)が一つという意味です。二つあるものは「ダブルモンク」といいます。
 
 「モンク」というのは修道士の意味です。修道士の履いていた靴にこのようなバックルが施されていたので、ベルトで甲を抑える靴は「モンクストラップ」と呼ばれるようになりました。「モンク」というのは「モンクストラップ」の略です。
 
 本来、スーツに合わせる革靴は紐靴でなくてはいけませんが、「モンク」は例外で認められています。
 
2015116155832.jpg
 
(ダブルモンク)

ジャケット生地とスーツ生地のちがい

 お客様に時折、ジャケット生地でオーダースーツをと注文を受けたりします。
 
 ジャケット生地はスーツ生地と違い、打ち込みが弱い(生地の糸の本数の密度の薄い)ものが多く、スーツにしたらパンツの膝が抜ける場合があります。また、耐久性の面でもあまりお勧めはできません。
 
 ジャケットはパンツに比べ摩耗する箇所が少なく多くの場合は弱い生地です。
 
 カシミヤの生地が例外を除いてコートやジャケット以外に使われることがほとんどないのは摩耗を避けるためです。特に細い繊維の生地はすぐ毛玉ができ、擦り切れます。
 
 中にはスーツで仕立てることも可能な生地もありますのでその都度、御相談していただけたらと思います。
 
 スーツにしても大丈夫な生地の見分け方は斜め方向に引っ張ってよく伸びる生地はパンツにすると危険です。スーツ生地とジャケット生地で比べてみるとその伸びの違いがよくわかります。(素材にもよりますが)
 
 逆にパンツ生地でオーダースーツをお作りになることは問題ありません。
 
 
 
 余談なんですが先日、イタリアの生地とイギリスの生地とでは圧倒的にイタリアの生地の方がデザイン性があって色使いが鮮やかな理由はなんでなのかと業者仲間と話していました。
 
 「イタリア人は女を口説くために着飾るんだよ。」と言われてしまいました。(笑)
 
 昔、本田宗一郎が「この世に女がいなかったら俺は麻袋を着て過ごす。」と言っていたとの話を思い出しました。名誉工学博士を大学から送られた時も社員から「工学博士」ではなく「エロ博士」といわれた人間らしい本田さんらしい言葉ですね。
 
 (そのスケベ心からはわかりませんが)本田さんも自動車をただ乗る道具としてではなくデザイン性にも大変こだわったそうです。
 
 スーツもただ単なる仕事着ではなくデザインを楽しむ余裕も欲しいものですね。
 
 本田さんにまつわるエピソードをおひとつ。ある時、来賓客がトイレで入れ歯を落としたそうです。当時はくみ取り式で、本田さんはその入れ歯を探し当て見つけ出してお客さんに渡したそうです。お客様はさぞ、対処に苦慮したことでしょうが、経営者として語られることが多い方なんですが、なんだか接客する人間として自分も学ぶところの多い人だったようです。(笑)

トレンチコート、アルスターコート(オーダースーツに合わせるコート)

 季節外れなんですがなんだか、お客様にコートについての質問を頂いたので少しコートについてご紹介させていただきます。
 
 
 
2015116155117.png
 
(トレンチコートを着た男性)
 
2015116155155.png
 
(前列左のチャーチルがアルスターコートを着ています。中央のルーズベルトはステンカラー?)
 
 
 
 スーツに合わせるコートと言えば一般的にはチェスターコート、ステンカラー、トレンチコートですね。
 
 トレンチコートは以前、ブログでご紹介させていただいたように塹壕戦に向く兵装として生まれたものです。
 
以前のブログ リンク先http://sartoriacorvo.com/?p=523
 
 
 
 日本ではあまり見かけないアルスターコートは実は来季の注目の的なんです。
 
 チャーチル元首相の着ているコートとトレンチコートの形が似ていませんか?トレンチコートのもとになったのはこの「アルスターコート」なんです。
 
 アルスターコートは北アイルランドが発祥とも言われています。
 
 特徴は大きな襟です。エレガントな印象ですね。この襟の形を「アルスターカラー」という場合もあります。
 
 優れた防寒性、デザイン性で20世紀初期のイギリスで流行したそうです。日本でも昭和初期に流行したそうです。
 
 コートに関してイギリス発祥の物がおおくイタリア発祥の物はあまり聞きませんね。スーツも元はイギリス発祥なんですがスーツのような独自の発展はなかったようです。気候の関係かもしれませんね。
ページ上部へ