大阪店
一流の海外スーツブランドとくらべCorvoのスーツの縫製技術は?
Corvoの縫製は海外スーツブランドにくらべどうなのか紹介させていただきます。
Corvoのスーツは生まれはイタリアの一流ブランドのスーツを参考に世界的に見てもトップ水準の日本の国内最高峰の縫製技術をもってクラシコイタリアのスーツをモデルに作ろうとしたのが始まりです。ここで紹介するブランドはいわばCorvoの師匠でもありました。(笑)
まずはキートンです。
1969年創業のイタリア南部ナポリのブランドでもともとフルオーダースーツ職人が集まり、既製のスーツブランドとして始まった、技術集団を擁する一流ブランドです。
手作業を随所に施し、いかにもナポリらしい柔らかいスーツを仕立てます。
また、「クラシコイタリア協会」に加盟しており日本でクラシコイタリアとしてイメージされるスーツはキートンのものが多いです。
次はブリオーニです。
1945年創業のイタリアを代表する最高級ブランドです。
こちらも手作業を随所に施し、アイロンワークを施した美しいシルエットのスーツを提供することで各国の富裕層の間で人気を博しています。
イギリスのスパイ、「007」の主人公がブリオーニのスーツを着ていたことで話題になりました。現在もブリオーニのスーツです。
2002年には「クラシコイタリア協会」を脱退したものの仕立てにこだわったイタリア調のスーツを現在も提供しています。
どちらのブランドもスーツの価格で50万円以上してしまいます。
百貨店ならCorvoと同じ縫製でも20万円そこそこで売っています。
実はCorvoのスーツはこれらのブランドスーツと同等以上の仕立てなんですよ。毛芯、たれ綿などの素材はもちろんそれらのブランドと同等品質のものです。むしろ、うちのほうがいいかもしれません。縫製に関しても全く遜色がなく、日本の縫製というのはそれぐらいのレベルの高いものなんですよ。(笑)
オーダースーツを取り巻く環境(イギリスにマーチャント、イタリアにミルが多い理由)
先日、生地屋の方から教えていた薀蓄を披露させていただきます。
生地屋には卸問屋、織元、企画屋など「生地屋」と一言に言っても色々とあります。
特に生地の生産を行うところを織元、ミルといいます。
企画、生地のデザインをしそれを織元に織らせて自ブランド、他ブランドの生地名で市場にだす、企画屋をマーチャントと言います。
私のようなオーダースーツ店はそうして企画、生産された生地を市場にだす流通を担当する生地問屋さんと直接、生地の仕入れをお願いします。
中にはロロ・ピアーナ、ゼニア、スキャバルのように大資本をもとに同一法人で生産、企画、流通までも担当する生地会社もあります。そうしたところは全体から見れば稀です
イタリアの生地ブランドはミルが多く、イギリスはマーチャントが多いのはよく雑誌に載っていてご存知の方も多いかと思います。
「なぜ、そうなったのか?」というともともと、イタリアはイギリス、フランスなどのブランド品の下請けとしての性質が非常に強かったそうです。仕事を請け負ううちに縫製工場、生地の織元などの生産の効率化、資本の集中が起こり町工場単位のものがだんだん、集積していき大規模工場へと産業体制が変化していったそうです。
その結果、企画、生産、問屋との交渉を行うミルが多くなったそうです。
一方、イギリスは資本投下が行われず生産効率の悪い町工場単位のものが多く、企画を行うまでの体力がなく、一括して原毛の仕入れ、生地のデザイン、問屋との交渉を行うマーチャントが多いと言うわけだそうです。
ダンディーな男 白州次郎
「日本のプリンシパル」「従順ならざる唯一の日本人」などと謳われる白州次郎ですがファッション界の中でもダンディーな方として有名です。
始めて日本人でジーパンをはいたのは白州とも言われています。
ロンドンに留学を経験し、海外経験がながく西欧のファッションに深く造詣があった方です。
また背広をロンドンのサヴィル・ロー15番地に店を構え、最も古いといわれている老舗テーラー「ヘンリー・プール」で仕立てていたそうです。ちなみこのテーラーには吉田茂元首相も通っていたそうです。またチャーチルもこのテーラーの顧客でした。「和製チャーチル」と渾名された吉田茂とその側近であった白州が顧客とはなんと言うめぐり合わせでしょうか。
ここまでなら単に老舗テーラーの顧客であった人で終わってしまいますが、白州は軒に仕立てあがった背広を吊るしよれよれになってから着たそうです。
彼の言葉に「ツイードのジャケットは軒に2,3年吊るしてから着ろ」というものがあります。
イギリス人は日本人と似た古いものを大事にする心があります。「わび」というものにちかいのでしょうか。父から譲り受けたスーツを一旦、解きそれを子がまた仕立て直し使うイギリスではそれが当たり前なのです。そうした精神を白州さんは理解していたのでしょう。
夏は薄いブルーのシャツ
お客様から透けないシャツをと問い合わせを頂きました。
夏は汗をかくから肌がすけたり、脇汗が染みたりと厄介ですね。
Corvoのお客様は白シャツをご注文される方がほとんどです。ブルーのシャツを勧めてもやんわりと断られます。(笑)
肌が透ける、汗染みが気になる方は色の入ったシャツをお勧めします。
白シャツに慣れてしまうとなんだか柄物、ブルーのシャツには抵抗がありますよね。わたしも二年ぐらい前までは白シャツしか持っていませんでした。だからお客様が抵抗を持つ気持ちが分かります。
そんなときは遠目で白に見える、淡いブルーのシャツはいかがでしょうか?
見た目にも清涼感がで夏にはお勧めです。
オーダースーツはマシン、ハンドどちらが上?
オーダースーツはハンドワーク、マシンメイドなど色々と言われますが追求すべきは体に沿うようなフィット感と美しいシルエットです。
マシンメイドかハンドメイドどちらが優れているのかと言えば一概には言えません。ハンドメイドは手作業ですからズレが生じもしますが職人の手の味とクライアントに対し細やかな対応が可能です。マシンは機械を使い、各所ごとの縫う職人が分業で仕立てますのでズレはほとんど生じません。
ハンドメイドは総合点、マシンメイドは部分点の集合と私は言っています。
ハンドメイドはほとんどを一人で仕上げますので全体のバランスで勝負します。ハンドメイドは一部をみると縫いズレがあったりしますが離れてみてみると全体のバランスは良いです。(一部、分業化している場合もあります。)
マシンはそのパーツ、作業ごとのエキスパートが仕上げます。ですのでフルオーダーの職人よりもその特化された作業は技術的には上なのです。その部分分の作業の集積がスーツとしての最終的な質となるのです。
Corvoの場合は分業化され、職人によってマシン、ハンドの両方を施しています。いいとこ取りをしています。(笑)ですので部分を見てもズレはありませんし全体のバランスは良いです。
しかし、一人の職人の味、感性がいきたフルハンドメイドのスーツはいいものです。機械化が進んでも根強い人気のあるのはそれ故でしょう。
ネクタイにはデインプル
デインプルはえくぼ、くぼみなどの意味を持つ言葉です。
紳士服業界ではネクタイを結ぶ際に入れる皺のことを言います。
今は比較的に一般的で多くの方が入れていますよね。
なぜこのシワを入れるのかはよくわかりませんが入れたらネクタイの形が良くなるとも言います。(あまり、わかっていなくて申し訳ありません)
しかし、ディンプルを作った方がたしかに形がよくなります。襟もとに立体感もでてエレガントに見えます。
また、このディンプルを作りやすいか作りにくいでネクタイの質がわかります。結んだ際に自然にディンプルのでるものはいい芯を使っている証拠です。
ちなみにシワが残るので他店でネクタイを結んでみる場合は店員さんに一言断りを入れましょう。業者の方に以前、私が断りを入れずに結んで注意を受けました。(すみませんでした。)
(現在、Corvoではネクタイは取り扱っていません。)
スーツの地域性
私事なんですが自分は愛知県出身で赤味噌が好きです。(笑)
赤味噌は白味噌に比べ塩分濃度が高といわれています。赤味噌は中京区(豆が原料のもの)、東北区(米が原料のもの)で多く親しまれています。
昔は大阪などの商業の都市にたいし中京区、東北区は農業の地区で農業に従事することから、汗で失われる塩分を補充するために赤味噌が一般的になったと言われています。
鯉こくなども、冬の間、狩猟にでられない内陸部の人がタンパク源としたそうです。
また、京料理の定番の鱧も内陸まで生きたまま輸送に耐える強い生命力をもっていたために京都で食されるようになったそうです。
食文化には昔の人の生活様式、環境によって生まれたものがほとんどです。
今は昔とちがい流通、情報伝達が発達しそうした地域差はなくなりつつあります。しかしそうした地域差は残っています。
スーツにも英国調、カントリー調、ナポリ調、ミラノ風、フィレンツェスタイルなど色々と差があります。いまはかつてほどその特色、違いはなくなりつつるそうですがやはり地域差は残っています。
それは貴族社会、農業社会であったなどの地域性、社会性などに端を発したものがほとんどです。
イタリアはもともと都市国家の集まりで各地独自性が非常に強くその地域によってスーツの形も違います。パスタの形、スパゲッティーの食べ方ですら都市毎に違うとも聞きます。
またイギリスも都市部と郊外は生活様式も全く違い、スーツも生地もまったくちがったものです。
田舎のほうでは狩猟を楽しむために、銃などで狩猟の際にすれを防ぐ胸、肘などに当て布のついたハンティングジャケットなど様々な特徴的なものがあります。
そうした違いを楽しみながらルーツ、歴史背景などを考えながらスーツの形、生地、靴、小物などのコーディネートを選んでみると一層、スーツの楽しみが広がりますね。
本切羽は一つ、二つ外す?
(男の着こなしから)
画像のように袖口を実際に開閉できるようになっている仕様を本切羽、本開きなどといいます。
高級のスーツの場合はこの仕様がなされることが一般的です。
イタリアの医者が人前でジャケットを脱がす、袖をまくり作業ができるようにしたのが始まりだとか、ナポリの仕立屋が凝ったディテールとして施したのが始まりだとかとも言います。
医者の説からドクターカフとも言います。
もともと、袖のボタンはナポレオンがロシア進攻の際、兵士が寒さで鼻を袖ですするのを防ぐためとも言われています。
医者の説とナポレオンの説には説得力が欠けるような気がします。医者がジャケットを人前で脱がないというルールをそこまで厳守する必要があるのか。また、鼻をすする際はボタンのない方ですする気がします。被服の説、由来というのは嘘か本当かのことがたびたびあります。(笑)
実際に袖の釦が開閉ができるからといってスーツの場合、イタリア、イギリスなどでは釦を外すことはないそうです。
また、ジャケットの場合は外そうです。日本人のように右は一つ、左は二つの左右非対称にすることはまれだそうです。
天然素材も万能ではない
高級スーツの芯は通常本バス毛芯、キャメル芯、綿、麻などの天然素材を使います。Corvoのオーダースーツでも同じように天然素材のものを使っています。
当然、海外ブランドの数十万するスーツには当然こうしたものが使われています。
19800円などの格安スーツにはポリエステルの代用品が使われています。
高いスーツが型崩れしにくいといわれるのは芯の違いが大きいです。(生地にも仕立てにもよりますが)
しかし、天然素材というのは万能ではありません。
本バス芯には馬の尻尾を使っています、また麻芯は麻です。当然予防策は取っているのですが、これらの素材は繊維が堅くときどき表地から出て来ることがあります。
パンツのベルトを締める位置には芯が入っていますが、Corvoでは敢えてポリエステルの芯を使っています。それは麻芯を以前、縫製工場では使っていたのですがチクチクするとクレームが殺到したからです。
縫製工場の社長と副社長が
今日、Corvoに縫製工場の社長と副社長がやってきました。
平日はゆっくりしていて来訪の方が来られると嬉しいものです。(笑)またいつも電話でのやりとりはしているのですがこうしてお会いするのは半年ぶりぐらいで色々とお話しさせていただきました。
「ブログがいいですね」と社長と副社長に褒められました。「服飾評論家として食べていけるレベルの知識量」と言われましたがお客様とおしゃべりながら一緒にスーツ選びをしていることが好きなので店舗にいつづけますよ。(笑)「ブログのキャラと実物の風体とキャラが違いすぎる」と副社長に言われてしまいました。お会いしたお客様にそんなこと言われたないのに…スーツも好きですが、それより人と話すことが好きなのでこの商売は自分にとって天職のように思えます。
今後のCorvoの方向性についてお話しさせていただきました。
Corvoのオーダースーツは何度もブログで紹介させていただいているように通常20万円以上、Corvoで10万円前後のものなら百貨店、高級ブランドなら50万、70万もしてしまうようなハイクオリティーの物をご提供しています。
仕立ての面でも生地、素材にこだわるのはもちろんのこと、ヨーロッパの一流ファクトリーに一歩も引けを取らない、むしろそれを超える技術力を持つ国内最高峰の縫製工場でお仕立てしています。
そうしたビジネスパートナーに巡り合えたこに感謝をしつつより多くのお客様にスーツを購入いただけるようにと、その高品質のスーツを単に値段の面で消費者の方々にアプローチするのではなく、その価格を遥かに超えた質の面を消費者の方々にご理解いただけるようどう提案するのかお話しさせていただきました。
高品質のオーダースーツをこれからも現在の顧客様、新たなるお客様にご提供できるようにCorvo、縫製工場、生地問屋、関係各位ともども邁進していきますので今後ともよろしくお願いいたします。