名古屋店
新モデルの発表を終え
撮影を終え、新モデルの発表も無事済んだ。
名古屋での炎天下の中の撮影は私、スタッフ、カメラマンも含め辟易した。撮影終わりのお茶のがぶ飲みは学生時代の部活終りのようにひどくおいしかった。
新モデルの好評ぶりに、我々の苦労が報われた心地に、疲れも飛んだ。
ちなみに茶室を撮影場所に選んだのは、Corvoが日本発ブランドとしての意識を明確にするためである。
今後はネクタイをはじめ西陣織の絹地など、スーツにも日本由来、和を感じさせるものをちりばめたいと考えている。
撮影後の使用する写真選考の際に、来年1月に撮影に新モデルの発表を決めた。我ながらつい先日の撮影に苦労したのに次の撮影を決める。つくづく自分の積極的思考には周りに迷惑をかけつつも、経営に向いていると思う。
この業界に入るときに教わったことがある。
ファッションにかかかわるものには必ず価値がある。
その価値とは
価値=審美的価値+信頼性+耐久性+永続性+悠久性+品質
の方程式が成り立つと。
ファッションとは装いに関する、装身具、美容、香水を含めた広範の意味合いを包括する。この方程式は多くのものに当てはまると考える。
今までの経営は価値の向上を目的に信頼性、耐久性、永続性と悠久性(普遍のデザイン)、品質の価値を高める努力をしてきた。
2016年からは審美的価値の向上に努めるように舵を切った。新モデルの詳しい意匠、拘りは紹介ページに譲る。
ここからは私の新モデル発表に対する所感を。
私自身そうであったが審美的価値を高めるということは品質を犠牲にすることにつながる危惧があった。ファッション業界は審美的価値をデザイン料という言葉に置き替え、品質を犠牲にする傾向にある。Corvoはそういった体質になるのではないかと。
裏話を書いてしまうと、複雑な仕様故の通常ラインからの生産コストの上乗せ分しか、値上げしないことを条件で新モデルの取り扱いを決めた。Corvoが過度の営利に走ることは創業の精神に反するとの思いからである。
意匠の面で特に留意したのは、単にロゴ的に周囲に己のブランドを認識させるもではなく「テーラードの世界で今後数十年通用する洗練された意匠」ということだ。
意外だったことがある。「莞爾」(かんじ)、「奉文」(ともゆき)も鋭くとがった意匠にしスーツを強制された仕事着と捉えている若い方に「スーツは楽しむもの」との意識転換を図る意図があった。
「莞爾」「奉文」は「フロックコート」と「燕尾服」の要素を取り入れ、細部に関しても古典的なものにした。伝統的なスーツが好みの方にも、受け入れやすいようだ。
あくまで、我々の求める「最高のスーツ」とは意匠、質に優れ「花も実もあるスーツ」である。
次回の新モデルは2017年1月以降となるが今後Corvoの提案に期待していただきたい。
所感
早、2016年も下半期に入ろうとしている。
Corvoは2011年8月にオープンし、今年で創業5年となる。
今回は節目ということで、上半期に対する所感を。
実は言うと、2016SSのオリジナルバンチブック導入は内部から反対が多かった。
「選択肢を狭めることは必ずしも、顧客軽視にならない。」
を信念に我々の規模のオーダースーツ店としては、踏み込んだ「提案」となった。
むしろ選び抜かれたよい物を「提案」することのほうが顧客重視と、多くの経営者はわかっていても踏み込むことがなかなかできない。そこには今ある売上を手放し、新たに空白地帯に進む恐怖心が存在する。
ある意味、その恐怖心に打ち勝ったということで、Corvoというブランドにとってもいい刺激になった。また、顧客様の支持を得たことはCorvoにとって本当に顧客様のためにとの考えに立った「提案」には、顧客様に評価していただけるという自信にも繋がった。
2016AWはデザイン面にもおいても我々が最善だと考えるものを「提案」するつもりだ。
できることなら、2017SSまでを目処に、日本発のブランドとして、日本国を主題にCorvoの自己同一性を確立したい。
特に名古屋店は旗艦店としてCorvoの考える形をより明確に具現化したいと思う。
Corvo Nagoya
8F 2-14-16
464-0074 CHIKUSA-KU,NAGOYA SHI AICH-KEN
TEL/FAX 052-898-0974
2016AWのオリジナルバンチの追加生地選考
気が早いようなのだが2016AWシーズンのオリジナルバンチに追加する生地選考が始まった。この業界は最低でも3か月前から仕込みが始まる。
何千とある生地の中からCorvoにふさわしい生地を選ぶ。今回は選考に選考を重ねた。
2016SSから始めた企画であったが、お客様からは好評のお声をいただけた。自前でオリジナルバンチを持つことはCorvoが独自の路線を歩むきっかけとなると確信している。
オリジナルバンチはCorvoを象徴するものであって各スタッフ、力が入る。皆、自ら生地商社に出向き見て、触って選ぶべき生地を吟味した。
昨今の空調設備の整った使用環境を考慮して300g程度までの目付のものを選考基準とした。誤解を恐れずに書くと、Corvoでは耐久性を絶対的な価値とは定義していない。
「オリジナルバンチブック」はビジネスユースの方をターゲットに作られた。当然、最低限の耐久性を兼ねそろえたものではなくてはならない。
しかし、過度の目付、打ち込みはしなやかさ、ドレープを失いややもすれば野暮ったささえ醸し出す。
Corvoの選考基準は実用性とエレガントの両立にある。耐久性だけを追求し、野暮ったいスーツでは意味がない。
スーツは消耗品という思い切りの良さが時には必要だ。十年前に流行した3釦のスーツを着ているビジネスマンがあなたの周りにいるだろうか。
今回、意識して選んだのは控えめな柄でも、存在感を放つ生地。前回はストライプ、チェックなどの柄物を中心に選んだ。
質感のある生地はもろに仕立ての良しあしが出る。今回は仕立ての良さを存分に楽しんでいただきたい、そうした思いから、質感重視にした。
2016AWは生地本来の質感を重視し、艶、しなやかさを重点にスーツに仕立てた際に美しいドレープを楽しんでいただける生地を選んでいった。
今回、主力となるべく選んだ生地は特殊なフィニッシュ加工でクリアな光沢を放つ最高の質感を持っている。スーツに対する知識がある方ならブランド名がわっかてしまうだろう。チャールズクレイトンだ。その中でも最高のランクのスーパー150 カシミヤ混のものをチョイスした。
好事家ならCorvoのチョイスに満足いただけるはずだ。
8月には入れ替えを行ったオリジナルバンチを各店に投入できると思う。ご期待いただきたい。
Original Bunch Book Corvo selection
price 2p Suit ¥95,040 ~ 3p Suit ¥122,040 ~
Corvo Nagoya
8F 2-14-16
464-0074 CHIKUSA-KU,NAGOYA SHI AICH-KEN
TEL/FAX 052-898-0974